魑魅魍魎世界の山上徹也

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 山上徹也の公判廷があったという。
 2022年(令和4年)7月8日昼前、奈良・大和西大寺駅近くで選挙応援演説の最中、自民党半世紀支配=統一教会的惨禍に苛まれ続けた半生に叛旗を翻すべく、乾坤の一擲ともいうべき手製水平二連銃で元総理大臣・安倍晋三を射殺。

 

 演説中の安倍の背後、七、八メートルくらいから最初の一発目、数秒置いて五、六メートルの距離から第二発目が山上の手製水平二連銃から発射され、二発目の時、警護員が黒の防弾鞄を翳して見せたものの、銃声のした背後を振り向こうとした安倍に数発の散弾が命中。自力で演説壇から降り、その場に蹲った。
 警備の甘さを一頻り、マスメディアが指弾していたものだけど、米大統領レーガンが銃撃された折も、SP達が廻りを囲んでいたにもかかわらず、紙一重で命はとりとめたものの被弾は免れ得なかった。
 

 

 映画《 実録・仁義なき戦い 》で、菅原文太( 広能昌三 )が吐き捨てたセリフ、

 

 

 「 狙われる者より、狙う方が強いんじゃ!」

 

 

 正にかくの如く。
 

 

 そういえば、以前、隣町の駅のホームで電車を待ってると、ふと、黒づくめの男女がゾロゾロやって来て、当方が坐ってたベンチの周辺に等間隔に散開した。
 最初、何処かの企業の社員達が、やがて現れたその会社の幹部か得意先と思しき一人の背広を纏ってアタッシュケースを手にした華奢な体躯の男を見送りに来たものとばかり決めつけていた。
 が、普通に考えて、幾ら大事なお得意先の幹部だとしてもちょっと物々し過ぎはしまいか・・・と、尋常じゃない雰囲気に他の待ち客達も気付き始め、ジロジロ見やることしきり。黒スーツの若い女達も、普通のOL達と明らかに身のこなしが違ってて、ようやく、彼等がその何処かの役人かなんかを警備するために配備された私服警官だと了解した。

 

 
 やがて入って来たブルーの特急列車ソニックの先頭車両にくだんの四十前後の役人風が乗り込み、黒づくめも一人か二人後に続いたと記憶している。発車し、姿が見えなくなると、黒づくめの男女の警備警官達も一斉にホームの階段に消えていった。
 SPというより、警備の方なんだろうが、生れて初めて視た光景に、しかし些かの感慨も覚えることもなかったものの、あんな感じなのかと得心はした。
 けれど、ガードされた人物が、如何にもそこら辺のまだまだ若いヒョコヒョコした中堅幹部風なのもあって、も一つ、一行の物々しさと平衡がとれず、既成のイメージと余りに懸け離れ過ぎて、むしろシュールな場面との遭遇だった。

 

 大部過って、同じホームで、同じ黒ずくめの光景に出遭った。
 やっぱし、VIPは、ヒョコヒョコした役人風だった。
 

 

 マスメディアによると、検察=自民党権力が、山上徹也を死刑にしようと謀んでいるとか。
 あれだけ悪事・禍事に淫した安倍を、強権発動で、ファシズムとはかくの如きかと想わせる青天の霹靂的【 国葬 】をゴリ押した現権力の、しかし、やりそうなことではある。
 かつて、日本社会党党首・浅沼稲次郎を、この国の右翼組織を使って、米国CIAが刺殺させたのは余りに有名だけど、今度この国の総理大臣、初の女性総理らしい髙市首相が、米海軍のその名も先住民=アメリカ・インディアン達に対する大量虐殺で高名なジョージ・ワシントンの名を冠した原子力空母の上で、戦前のチャップリン追放時代を彷彿とさせる排外主義エポックの立役者・米国大統領トランプの隣で、初代女性総理大臣就任と、宗主国米国のトップと同席できたことへのご満悦ですっかり舞い上がった図は余りにも有名・・・そんな歴史的関係性を念頭に置くと、なんともおぞましいばかり。ニュースによると、その時なのか、トランプが髙市の腰に手を廻していたとか、それが白人旦那からの太平洋を越えた列島の現地傀儡政権トップに下されたご褒美って訳なのか、長い間の嗜虐的惨禍の犠牲になった多くの人びとの真紅の血にどっぷりと塗れたご満悦の図ってわけだ。

 

 

 

 

 

 

2025年10月 5日 (日)

欧米列強的"1984" バーチャル的ミレニアム

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 グレタちゃんが乗っていたガザ支援物資輸送船団は、定番の如く、イスラエル軍によって拿捕=拉致されてしまったようだ。イスラエル軍(+イスラエル人入植者) による今回のパレスチナ人虐殺は、六万人を越えている。

 

 パレスチナの人々にとっては何を今更ってとこだろうが、底無しの小覇権国家イスラエルのこの二年もの間の侵略的暴虐・虐殺に、世界の国々は、ロシアがウクライナに侵攻した時には、かつての9.11の時並みに同情して見せ、戦車だミサイルだドローンだとあれこれ兵器武器弾薬、物資的援助を現在も惜しげないにもかかわらず、アリバイ作りにもならないガザに対する口先だけのもので、飢死者すら出て来て久しく、その妙な在り様をあかすように、バイデン=トランプを軸にして、ウクライナ総帥=ゼレンスキーとイスラエル総帥=ネタニヤフの親密さ・仲の良さが伝えられ、余りにも絵に描き過ぎた図式に何とも鼻白むばかり。

 

 つまり、二十世紀はとっくに過ぎ、時代はミレニアムにはいっているのに、今だ世界はアングロサクソン同盟に牛耳られたままのようだ。
 最近は、英国あたりが、如何にもこれ見よがしに、パレスチナ独立を認めるとかアドバルーンを上げると、さっそく参集する国々、アングロサクソン同盟麾下の衛星国とか属国とか謂われる国々の権力が走り寄って来た。これから、もっと増えるのだろうが、トランプ=米国は一人ネタニヤフ=イスラエルに支持といわんばかりにいよいよ様々な物資的援助をぶちあげて見せる。
 余りにも見え透いた筋書としか見えまい。
 パレスチナの独立 ? 
 パレスチナが、一体何処から独立するというんだろう。
 勝手にアングロ同盟とイスラエルが画策した奸策、侵略者シオニスト=イスラエリが周辺に追いやった先に線引きした覇権国家・小覇権国家の常套の上に敷かれた侵略シオニストたちの思う壺。

 

 為されるべきことはひとつ、侵略者達=シオニスト・イスラエリたちの、侵略地つまり元のパレスチナの地から、侵略してくる以前にいた居たところ、つまり代々棲みついていた欧米ロシアその他の国々に戻れば良いだけ。
 彼等の後援者達、とりわけ昨今じゃ米国=トランプが盛んにやらかしている政策でもあるので、異議を唱える筋合いもなかろうし、元々の国々が、ユダヤ人に対して差別的であった集積あるいは論理的帰結がナチのホロコーストだったんだから、パレスチナ人が、そんな欧米の差別主義の犠牲になる筋合いは全くありえなく、それぞれの元居た国々が自腹を切っても彼等に正式に謝罪し温かく迎えるってのが筋ってものだし道理でもある。

 

 あるいは、一番画策した英国の何処か一、二の州を、彼等に提供するってのもありだろう。一千万人弱のイスラエリ=ユダヤ人達が、七千万人弱の英国に移動したとすると、一挙に八千万にもなってしまうけど、そもそも他国侵略の略奪盗奪で繁栄してきたのだから、アジア・アフリカ・中南米を破壊しつくし、現在以てそれらの元被植民地国は惨状を呈しているのだから、そのくらいのことはやって当り前の贖罪的行為。それもほんの一つに過ぎない程度。
 尤も、英国はじめ元居た国々には、既にユダヤ系の権力とつかず離れずの財閥が存在しているのだから、もっと容易なはず。

 石破が短期内閣なのは、予め、"政治"に疎い当方にすら自明のことがらに過ぎなかった。かつて、蜂の一刺しとやらで短命に終わった内閣もやっぱし同様にババ掴み的な生贄内閣だったのと余りに相似。石破が防衛大臣時代に「イージス艦事件」で、国会内的約束事項をやぶっての違法行為( 自民党的には親孝行 )で稼いだ点数を、そんなババ掴み内閣の長就任で使い果たした、否、果たさせられたというべきか。
 今度のこの列島の女性首班も、宗主国=米国トランプ政権を反映したのか、それとももっと直接的に指示でもあったのか。バーチャル政治の中のバーチャルってとこだろうけど・・・

 

2025年9月17日 (水)

 AK47娘子軍的ゆらぎ  エロスとタナトスの饗宴

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  明るい緑の草原の上、白のブラウスにすらりと伸びた下肢の太腿も露わなミニスカート、手にはAK47カラシニコフ自動小銃の女子高生達が、広い画面いっぱいに戦闘モードで展開する戦争絵巻。
 ロケット弾を発射する娘、その発射爆音に思わず耳を両手で蔽う娘、ピンクの手榴弾を運ぶ小犬、右端でこれ見よがしにミニスカートから白いパンティーを覗かせる片脚を後方に伸ばした娘。敵味方入り乱れての肉弾戦も間近な戦闘モードのわりには、一向に悠揚迫らぬ女子高生・娘子軍の眼差し。( 『 草の上のAK47少女 』 原題《 AK少女払暁出撃 》)
 

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 かつては明治の富国強兵的国策で全国から一攫千金を夢見て参集した炭鉱労働者や商売人たちで賑わった炭鉱の町・筑豊の街・田川も、末期資本主義的凋落の急先鋒と云わんばかりにシャッター商店街と昼尚車ばかりが行き交うばかりの、路上に人影殆んどない過疎タウンと化していた。そんなくすんだ佇まいであっても、一様に降り注ぐトロピカルな陽光と暑熱に茹だりながら辿り着いた小さな美術館の扉を開いた向うに、突如立ち現れた横五メートルの壮大な女子高生群世界。
 いきなりの画面展開はシュールな様相すら呈する。
 正にエロスとタナトスの饗宴。

 

 青々とした大空いっぱい、ミニスカートの、両手にAK47カラシニコフ自動小銃を抱えた娘子軍が、真っ白いパラシュートにぶらさがり一斉に降下してくる大画面。戦時中の鶴田吾郎の翼賛絵画『 神兵パレンバンに降下す 』の構図そのままに、降り立つと、皇軍手榴弾よろしくの兎のぬいぐるみを投擲せんと構え、あるいはニッコリ笑みを湛えスマホ自撮りを決め込む娘子軍。
 『 神兵台北に降下す 』 原題《神兵台北降下》。

 

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 「祖父は自分のことを“日本人”、父は“中国人”と思っていたが私は“台湾人”である。」

 1976年の台湾生れの画家、Chen Ching-Yao陳・( 手偏の上に敬)耀 。
 台湾の置かれた特殊性=歴史的ゆらぎを逆手に取っての反戦・反権威主義的な多面的な芸術活動を続けてきた画家・写真家 チェン・チンヤオ。
 ミニスカート女子高生のパラシュート的降下を地上から見上げる仰角図、階段を上る娘達のスカートの中を盗撮する軽佻な淫靡よりもっと直接的な、むしろ画家の願望的形象化なんだろうが、当方的も、ネットで画家のシリーズ化された数多の降下的仰角図を見るにつけ、決して手放さない鈍いスチール色のAK47ともどもに、タナトスとエロスの渾然は中々に面白い。
 『 AK47少女 愛の不時着 』
 「愛の不時着」のタイトルは幾年か前に韓国で流行ったパラシュート( パラグライダー )で間違って北朝鮮に降下してしまった恋愛テレビドラマ( 当方未見 )だったけど、画家的には、台湾=中国と連鎖するものだったのだろう。

 

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 戦時翼賛画、鶴田吾郎の『 神兵パレンバンに降下す 』をモデルにした『 神兵台北に降下す 』に戻ると、台湾=中国というストレートに自明でありながら、現代史的に幾種ものいわくで縺れた政治的坩堝の只中で、画家は、台北に降下する神兵とあえて名づける。降下=侵略なら、戦前の大日本帝国→台湾であり、戦後の蒋介石国民党勢力→台湾でもあるのだけど、今日じゃ、巷間、中国→台湾を謂う。
 で、中国人民解放軍降下部隊の青天下の一大降下ってとこなのが、画家は、伝統的画材「飛天」宜しくのミニスカートの女子高生( 実際には画家はアイドルグループAKB48あるいは乃木坂46の間をとってかAK47 Girls )達の淡い艶めかしさを漂わせての降下に変容させる。この通俗性をうまく活かした比喩的形象ではあるんだろう。

 

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 《 台湾侵攻 》のフレーズが喧しく喧伝されるようになって久しい。
 しかし、台湾は中国の一部・一省に過ぎない、そもそもそれを宣言し、米国の後押しで蒋介石国民党勢力が、台湾でファッショ政権を樹立し、独裁体制を敷き、悪辣を極め、国連でも米国およびその衛星国の類がその上に乗っかった公然事実。
 蒋介石国民党勢力は、中国大陸で、悪辣かつ腐敗( 一時国民党の捕虜となっていた、あのミスター皇軍こと辻正信すらその腐敗さ加減を口を極めて唾棄していた )し切っていた故に追い出され、這う這うの態で台湾に逃亡したのであって、やってこられた台湾人達こそいい迷惑だったのだから。
 やがて、時代の流れ趨勢が、八億中国人民の大陸側を正統と認めるようになり、蒋介石国民党勢力は、米国の後ろ盾で辛うじて命脈を保っていたに過ぎない。やがて国民党自体が衰亡の一途を辿り始め、台湾独立を喧伝し始めるようになった。
 
 つまり、人民解放軍が台湾を侵攻するんじゃなくて、単に、自国の一省に派遣・移動するってことに過ぎない。トランプの、とある米国内一州に、ゴリ押しで州兵を派遣することの方が遙かに違法この上ないのだけど、如何せん、米国および世界でその事実性を端的に指摘しあるいは指弾する声って殆んど聴かない。まあ、実際にはそれなりにあるんだろうが、マスメディアが正に彼等の走狗以外の何物でもなかった歴史からして、公になることはないだろう。当方みたいな、吹かなくても覚束ない微少ブログでの呟きなんて何処にも届かない。

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  ( 如何にも意味ありげなメタファーにゆらでいる。)

 

 勿論台湾には昔から高砂族はじめ先住民族は居たんだけど、蒋介石国民党が自己正当化のためにすべてを歪曲し話をおかしくしてしまった。中国も、実勢的に米国が背後で糸を引いているのが分かっているからには、おいそれと独立以前のレベルでも認めることはないだろう。
 米国の優等生的衛星国・ニッポン自民党権力も、朴正熙、ゴ・ジンジェム、マルコス、蒋介石と名だたるファッシスト達の東アジア衛星国ネットワークの要なんだろうが、例えばアイヌ=北海道、琉球の独立を認めなかったどころか、強権支配してきた正に張本人。それが、台湾独立を恥ずかしげもなくぶち上げるのだから、ついこの前まで、台湾蒋介石国民党こそ中国の正当な政府と連呼していたのを忘れてしまったかの如く。
 もう、このミレニアム世界は、如何とも救いようもなく、末期資本主義的狂態に満ち満ちて、あんな小覇権国家イスラエルのパレスチナ人達に対する果てしない侵略・略奪とリアルタイムの大量虐殺に、殆んどなすすべもないようで、ナチスのユダヤ人虐殺に対してもそうだったはずだろう。
 あの戦後の長い間この列島で世界で垂れ流がされてきたゴタクは一体何だったのだろう・・・

 

 

     戦争と美術 チェン・チンヤオ展 福岡・田川美術館

 

 

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