フェート : no one wants to be Alone!
あれは確か《ミザリー》だったか、斧を振り上げ襲いかかってくる中年女の画が随分とエキセントリックさを際だたせていたものだが、女だからってなめてかかると、ジェームス・カーンのような惨めな目に遭うんだなーと、痛々しいほどに思い知らされた本当のホラー映画だった。
日本でも公開されたらしい《シャッター》の監督、パルクポーム・ウォンポームとバンジョン・ピサンタナクムの二人の、今春タイで封切られたホラー映画《フェート》Alone、タイ・ポップスの女王=マーシャー主演ってことで期待していて、漸くDVDが手元に届き早速観てみた。
この二人の監督は闇が好きなようで、暗がりでないとホラーじゃないと云わんばかりに、やたら真っ暗か暗がりばかりで物語は展開されてゆく。余り暗いシーンが続くと、映画館ではそうでもないのかも知れないが、ビデオだとちょっと疲れを覚えてしまう。事物や動きが不確かで神経が苛立つからだろうか。
バンコクの対岸・トンブリーに在る博物館に、連続幼児殺人犯シー・ウィーの屍体の蝋人形と一緒に、ホルマリン漬けされた[シャム双生児]が陳列されているらしい。シー・ウィーも映画化され、このシャム双生児も映画化されて、あたかもタイのホラー映画の資料=アイデアの宝庫の感を呈している。僕はまだ訪れたことはないけど、一体如何なアイテムが硝子の向こうに眠っていることやら。
シャムとわざわざ命名しているぐらいだからタイには比較的出生頻度が高いのかも知れないけど、そのシャム双生児の姉妹の悲恋物語ってところであろう。
《シャッター》同様、ホラーお決まりの手法を、これでもかこれでもかと叩きつけてくる。何だ、定番手法のオン・パレードかいと些か白け始める頃に、漸く、シャム双生児姉妹ピムとプロイの如何ともし難い運命の悲しさとでも云ったものが、次第に顕らかになり始める。
一人の同年配の青年を巡っての十五歳の、片時も互いから一歩も離れることの出来ぬ身体の姉妹の愛憎・呻吟・・・そして・・・離脱手術。
そこから、この映画のタイトル《フェート》(対をなした、ふたつつながった、双生)とサブ-タイトル"no one wants to be Alone!"の意味の謎解きが始まる。
映画自体は離脱手術後、件の青年と一緒になって、韓国で生活しているピムとウィーの家でのピムの誕生パーティーの場面から始まる。そこにタイから一本の電話がかかってきて、二人はタイへ戻ることとなる。その辺りから、長い間封印されていたピムの記憶に綻びでも生じたかの如く、様々な怪現象が身辺で起きるようになってしまう。
これもホラー映画のお決まりの構図でありパターンなんだが、[シャム双生児]という特殊な題材を持って来たのが幸いして、それなりに観ることが出来る。
タイ人風に観れば、正におどろおどろしい運命や因縁の世界であるのだろう。
主演のマーシャーも文字通り奮闘していたが、この映画は、やはり青年ウィーが現れた十五歳の頃の双生児姉妹ピムとプロイに重心がかかっていて、少しふっくらとした目鼻立ちのはっきりした容貌のハタイラット&ルタイラットの双子姉妹の演技も悪くなく、雰囲気を十分に盛立てていた。
監督 : パルクポーム・ウォンポーム
バンジョン・ピサンタナクン
撮影 : ニラモン・ロス
キャスト ピム : マーシャー
ウィー :ウィタヤ・ワスクライパイサーン
ピム (娘時代) : ハタイラット・エゲレフ
プロイ(娘時代) : ルタイラット・エゲレフ
制作 PHENOMENA 2007年作品
« 韓流 in カルカッタ | トップページ | アララットの見える町 : ドゥバイヤジット(トルコ) »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 高杉晋作=東行庵(下関・吉田) 再訪(2026.03.31)
- 黒石ブログ的近況 《 笑うべからず 》同類異種的島田清次郎への接近(2026.03.18)
- わたしと共に磔刑を覚悟する者はいないか ! 古海卓二《 九州の百姓一揆 》(2026.02.23)
- 甲斐大策的軌跡 古い港町のオアシス・グリシェン・カフェ(2026.02.07)
- 浮遊と舞い上がり(2026.01.24)


コメント