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2007年10月 1日 (月)

逆 デ・ジャヴ

20070629105817

我が南西辺境州の寂れた港町を
ちょっと歩いてみると
あれっと奇妙な感覚にとらわれてしまう。
うん? 何だ・・・
何かが違う。
その微妙な違和感を辿っていくと
記憶に在ったものとリアルタイムの町並みに
わずかにズレが生じているのが分かった
ついこの前まで在った建物が
忽然と消え
更地になっていて
随分とせせこましかった佇まいが特定の角度から
妙に見通しがよくなったりしている
それがあちこち、表通りから裏通りまで
今だ嘗てなかったくらいに
時々刻々と進行している
大抵駐車場でなければマンションと
更地のあとに出来る物は相場が決まっている

嘗て中国南部辺境州の省都・昆明は
旅行者の間では、何の顧みる価値のない街として
単に、雲南のもろもろの目的地に向かうための中
継点としてのみ位置づけられていた。
が、頻(よ)くそう云われていたハノイなんかと同
様、昆明には <旧市街> が在った。
昆明駅から北にまっすぐ伸びた北京路の途中で
左折した金碧路を横軸に、北は同仁街や祥雲街、
南は西寺塔・東寺塔辺りまでの広い範囲に渡って
古い町並みが連なっていて、軋んだ木造の家屋は
生活するには些か不便だろうが、旅する者からす
れば、これほどすばらしい空間はなかった。
褪せた朱の板壁の木造や所々塗装のはげた煉瓦造
りの民家が迷路の如く建ち並び、あるいは果ては
シンガポール辺りまで拡がった歩廊(片側アーケ
ード)の町並み等が、何度通っても飽きさせなかっ
た。
だから、大抵の旅行者が、昆明はつまらない街と
決めつけていたりすると、
「そんなことはない、旧市街が在る!」
と、まるで昆明旧市街観光協会員にでもなったか
の如く、町並みの面白しろさを吹聴したものであ
った。

ところが、数年かそこら間を空けて再び昆明を訪
れ、旧市街の方に向かうと、行っても行っても在
ったはずの佇まいが無いではないか。
あるのは、広い範囲に渡って建築中の白っぽいマ
ンション群だけ・・・。
ある特定の通りとか、小さな町区ってものではな
く、あの広大な旧い町並み殆ど全部がまるごと叩
き壊され更地にされていたのだ。
暫し呆然としてしまった。
もはや僕の定番と化していた金壁路での、
砂鍋米線(小碗)→一品軒の湯元→屋台の切り西瓜
の小吃コースも、一瞬の夢と化してしまった。

昆明で <世界博> が開催されたためと云われてい
る。世界からの客にみっともない物は見せたくな
いらしくまだ残った家々も壁で蔽われ表通りから
見えなくしてしまったようだ。
まあ、博覧会やオリンピック、権力がやることは
何処も同じ。
で、又、元の木阿弥に戻ってしまった。
つまらない街=昆明。
だから僕はもう、
誰が昆明をつまらない、何もない街! 
と罵ろうと、大きく相槌を打つしかなくなった。

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