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2007年10月 1日 (月)

カブール・エキスプレス

20070629105943

バレ、バレ、シュニ・ダメシ・・・
冒頭の髭だらけのコマンダルが無線でカブール行きの車両要請した時のダ
ーリー語、これがなんとも好い。これ以上のないくらいのイントロで、そ
の後、現在のアフガニスターンのさまざまな光景が続いてゆく。
黄色い砂礫の大地、やがてその一部と化してしまうだろう破壊され放棄さ
れた錆びた戦車、壁だけ残り廃墟と化したホテル・・・

ジョン・アブラハムとアルシャド・ワルシ扮するインドから来た一発屋の
テレビ・ジャーナリスト、サヘルとジェイ、故国パキスタンにもどるため
国境の町トルハムに向かうタリバンのイムラン(サルマン・サヒッド)、米
国のフォト・ジャーナリストのジェシカ、この4人以外は、<カブール・エ
キスプレス>と号された四輪駆動の運転手兼現地ガイドのカイバル(ハニー
フ・ハム・ガム)を始めすべて地元のアフガン人達。

いや~かつて、パキスタンのアフガンの銀嶺の峰々が遠くに望める古都ペ
シャワール近郊に散在したアフガン難民達のバザールにうごめいていた表
情と格好そのままで、本当再会でもしたように嬉しくもあった。
長髪に髭、モスグリーンのフィールド・ジャケットそしてアフガン帽のム
ジャヒディーン風の男達。皆、人なつっこかった。
レストランに入ると大抵おごってくれたり、チャイだけ注文すると日本の
五色豆と同じ(白単色だったが)豆菓子を添えてくれたり、心底旅行者好き
であった。
一歩パキ人エリアに入ると、通りに突如現れたパキスタン警察に蹴っ飛ば
されたり長棒で叩かれたりして追い払われていた肩に担いだり屋台を押し
たりの露天商のアフガン人達。

その頃どんなことをしてでもアフガンに入りたいという者は、ペシャワー
ルのあちこちに在ったジャミアテ・イスラミはじめ各ムジャヒディーン事
務所にコンタクトをとった。
サヘルとジェイのインドの一発屋ジャーナリストも、やはりガイドのカイ
バルを通してコンタクトを取って、タリバンとのインタビューにこぎ着け
ようと企んだ。が、失敗におわってしまった。
ところが、帰りの四駆<カブール・エキスプレス>に突如ムジャヒディーン
に追われた一人のタリバンが入りこみ、カラシニコフを突きつけ、パキ・
ボーダー行きを命令する。ここから、彼等のたった二日間ではあるが、長
い旅が始まる。

あえて云えば、この映画の実質的主人公は、タリバンのイムランであろう。
イムラン役のS・サヒッドは有名なパキスタンの俳優らしく、仲々渋く哀
愁漂う一番美味しい役。ガイドのカイバルのアフガン俳優H・ハムガムは
ちょっとコミカルな役どころ。
付録のメイキングで、アフガンのアムリス・プリーの冠詞を付されていた
例の髭面のコマンダルが僕の一番気に入った役者(ファローク・バラキ)で、
他のムジャヒディン役の俳優達も、<シャクティ>に勢揃いした悪役並の悪
党面のハザラ役達も、皆かつて見たことがあるような懐かしい顔々ばかり。

インド(ボリウッド)映画で、パキの俳優まで起用して、悪評高いタリバン
にかならずしも厳しいばかりではない一人の人間としての情愛に満ちた視
線を向けざるをえなかったのは、やはり、今でもカシミール問題などヒン
ドゥー⇔イスラムの問題を抱えているインドの国内事情も当然あるだろう。
ここでは、もっぱらアメリカとその傀儡のパキ軍事政権が≪悪者≫に描か
れている。アフガンをもち出せば、いやでもアメリカの影を無視できない。
かつてソ連がそうであった以上に。

この映画で妙に感心したのは、銃撃シーンだ。
今までのボリウッド映画でそんなこと余り思ったことがない。
単純に、実弾でも使っているからだろうか。
ともかく、妙にリアルで臨場感があり、バックのアフガニスターンの光景
とまた妙に融けあっている。

僕も観ていて些か首を傾げた、<ハザラ>族の扱い方、
確かに悪名高いのは知っていたけど、所詮差別感情の域をでないのは分か
り切っているし、最初観て驚いてしまった。大丈夫なのかと。案の定、アフ
ガン国内で、色々と抗議されたようだ。
<ハザラ>はモンゴル系だが、ペシャワールにも沢山居て、風貌的に日本人
には親しみやすい。面白くしようというのは分かるが、配慮という以前に、
そこをもっと知恵を絞ってうまく出来なかったものか。あまりに安直過ぎ
て、この点だけは残念だ。

<ピンジャル>,<ヴェーラ-ザーラ>,<ガダル>等挙げれば切りがないくらいボ
リウッドで作られてきたヒンドゥー⇔イスラム、あるいはインド⇔パキス
タン問題をテーマにした映画の中で、もろイスラム世界の問題を取り上げ
たこの映画は些か異彩を放っている。

監督:カビル・カーン
プロデューサー:アディティヤ・チョプラ
ヤシュ・ラジュ・フィルム
2006年作品(インド)

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