« レッド・ブル : メード・イン・タイランド | トップページ | 水 パーニー »

2007年10月 2日 (火)

芳香の旅 The Road

20070907095547

六十年代の地方(雲南らしい)の山間の小さな町から、一台のバス、
「向陽号」がみしみしと車体を揺るがせながらゆっくりと出て行くところから映画は始まる。

 向陽号のバスの運転手・老崔は嘗て毛沢東主席と握手したことがあり、その毛沢東のオーラにあやかろうとあっちこっちの村や町で住民達が老崔と握手しようと押し寄せる。
 娘車掌・春芬は車内で出会った青年医者・劉奮闘と恋に落ち、以前から彼女に想いを抱いていた老崔は気が気ではない。そのバスの中年やもめ運転手・老崔と車掌・春芬、やがて二人に影のようにつきまとうようになる劉青年の長い人生の旅路を、時代時代で点描してゆく。

 時代が「文化大革命」期に入ると、いつの間にか、バスの名前も
「反修号」に変わっていた。文革のスローガン「反-修正主義」から採ったのだろう。インテリ階級=医者の劉青年も何処かの炭坑に「下放」されていた。春芬が炭坑まで行き彼に会いに行くが、逢瀬の興奮で衆目の知るところとなり、劉青年は連行され恐らく再教育センターか何処かへ連れ去られ、春芬は解雇を言い渡される。
 が、老崔がその処分に異議を唱え、頑として認めようとはしない。 
 やがて老崔は春芬にお見合いの形でプロポーズし、春芬は受け入れてしまう。老崔は長年の悪路での運転が禍してか性的不能に陥っていることが発覚。このDVDのカバーに記されているところに拠ると春芬は処女のままとある。
 
 ある日、老崔が事故を起こし、植物人間になってしまう。
 時代が次々に移ろっても、老崔は延々と病院のベッドの上で生き続ける。春芬は毎日のように、バスの運転手の仕事を了えると病院に赴き、老崔に話しかけ身体を拭いマッサージしてやるのであった。
 そんなある日、老崔が春芬の訴えに涙を流して反応した。が、それは老崔の最後の別れの涙でもあった。

 DVDのカバーに、こんなコピーがある。
中国平民の心霊史詩  40年処女生涯の苦と楽  霊と肉の糾纏

 己自身と時代に翻弄されてきた春芬、それでも敢然と自身の人生をまっとうしようと生き続けた。
 
 寂寥一生之后  春芬最后釈然
 
 活字にしてしまうと些か鬱陶しい感じだが、映画の方はむしろ淡々と点描している。やはり、芳香とは最期に己が人生を省みた時に陶然として漂うものであろう。又、中国語の「香」には、ぐっすり眠るという意味もある。植物人間と化した老崔にかけた言葉でもあるのかも知れないし、長時間バスの中で揺られているとついうとうとと眠ってしまいかねない。陶然とした甘い睡魔の誘い。春芬の「芬」も香るという意味があるらしい。 

 主演の春芬役の張静初、僕は前作の「孔雀」、そして近作のハリウッド映画、ジャッキー・チェンの「ラッシュ・アワー3」しか知らなかったが、結構あっちこっちで出ていた。
 フィンランドとの合作「玉戦死」なんて活劇物を既に演っていたとは知らなかったなあーと思っていたら、ツイ・ハークの駄作「七戦士」にも出ていたという。VCD持っていたけど最初から詰まらななかったので殆ど観ないままだったので、全然気付かなかった。最新作は、同じ章家瑞監督の雲南を舞台にした「紅河」という。
 章子怡チャン・ツィイーほど個性の強くない、普通の娘って感じが魅力なんだろう。
 中年親爺・老崔役の范偉は有名な喜劇役者で映画「胡同愛歌」のプロモーションか何かで今年来日していたらしい。

 監督 : 章家瑞
                                     
  音楽 : 梅林茂

 春芬 : 張静初 
  老崔  : 范偉
 
  制作 :捷楽文化  2006年

20070907095243

|

« レッド・ブル : メード・イン・タイランド | トップページ | 水 パーニー »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/472433/8209133

この記事へのトラックバック一覧です: 芳香の旅 The Road:

« レッド・ブル : メード・イン・タイランド | トップページ | 水 パーニー »