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2008年1月 4日 (金)

ヤワラート  曼谷黒幇的故事

4

  チャークリット・イエムナムと云えば、嘗てターター・ヤンの二作目の映画《Oネガティブ:ラック・オーク・ベープ・マイダーイ》('98)に出ていたのでその名を知り、その後、ニューヨークを舞台にした《クンパーパン》やこの《ヤワラート》を観て、おぉ頑張ってるなとつい応援したくなってしまった。その両方とも悪くはない映画だったので、クリット=面白い映画という評価を下したのだが、ハリウッドのカラテおやじ、スティーブン・セガールの《最後の聖戦》じゃ、セガールの娘の友達役で出演しているってんで期待して観たら、登場して直ぐに射殺されてしまった。そりゃ無いだろう・・・と呆れてしまったけど、ハリウッド映画じゃ、タイ人俳優ってまだそんな評価なんだなーと、そういゃあ、何処かで日本人だったかハリウッドでの日本人俳優の評価ってかなり低いような話を読んだ記憶があった。しかし、ハリウッド映画って確かに技術は仲々だが、映画自体の面白さとなると果たして如何だろう。日本映画は置くとして、タイのある程度の映画は遜色ないと想っている。この《ヤワラート》にしてから、今日観た(本当は観る気は無かったんだけど)、封切りの《ナショナル・トレージャー》なんかよりジャンルは違うけどよっぽど面白い。
 近作《オーパパティカ》(化生)では、《Oネガティブ》で共演したL.マクドナルドと一緒に出てて、都市を徘徊する妖魔達を演じている。ホラー・アクションってとこだろうが、まだ未見で、予告編を観た限りでは結構面白そうだ。《ネクロマンサー》を越えて欲しいものだ。

 
 バンコクの一隅の隣り合わせた狭い一角、ヤワラート(中国人街)とパフラット(インド人街)を縄張りにしたマフィア(黒幇)達の抗争を背景に、主人公サレーンの二人の女を巡っての破局への軌跡。これも一つの定形の破滅へと突き進んでゆく青春群像劇って奴だろうが、別に目新しいものは何もないのだが、やっぱしヤワラートって独特の雰囲気が退廃と混沌のマフィア世界の情緒を一層掻き立て、ナムチョーク・デーンプットのヤワラート世界に引き込まれてゆく。タイ映画の十八番の銃撃シーンの面白さがその一つの要素になっているだろう。
 ある日、ヤワラートのマフィアのボス・トンの処にタン・ヨンという若い娘が売られ連れられて来た。トンはサディストで閨房のベッドに女を縛り付け鞭打ち女が悲鳴を挙げるのを興奮剤として事に及ぶのであった。タン・ヨンの前任者の娘はそれが過ぎて死んでしまったのだった。
 タン・ヨンも直ぐに身体を悪くし、トンの命令でサレーンがふさぎ込んだ彼女を毎日外に連れ出し気分転換させる任に就かされる。サレーンには元々マイホンという恋仲の冷気茶屋(娼館)の娼婦が居た。しかし、次第にタン・ヨンに惹かれやがて愛し合うようになってしまう。
 
 タン・ヨンが連れてこられた頃、ヤワラートの賭場でパフラットのボス・ダーダーの配下のカオ-ロッドと彼の仲間がトラブルを起こし銃撃戦に発展し死傷者が出る。早速、ヤワラート・プフラット両方の諸組織のボス達が集まって会合がもたれ、一人ダーダーが集中砲火を浴びる。ダーダーはカオ-ロッド一味を呼びつけ叱責する。
 ほとぼりも冷めぬある日中、ヤワラートのど真ん中で、サレーンがパフラットの殺し屋達に銃撃を受け、返り討ちにするも腹部に被弾し、トンの館でタン・ヨンの付きっ切りの看病をうけることとなる。それが二人を一層接近させ恋情を抱かせることとなり、回復後、上階のトンの閨房から響いてくるタン・ヨンの悲鳴が次第にサレーンには堪え難いものとなってくる。久し振りにマイホンの処を訪れ、別れを告げ、金を渡す。悪漢カオ-ドットにも嬲るように云寄られていたマイホンは、堪えられず実家に戻ることにしたが、しかし、これはタイに限らず何処でも同じで、マイホンの仕送りですっかり好い身形の家族から、逆にさっさと娼館に戻るように説得されるばかり。すっかり行き場の無くなったマイホンは、結局、尼寺に入り剃髪して尼僧の途に就く。

 ある日とうとうタン・ヨンの悲鳴に堪えられなくなってサレーンは閨房にふらふらと這入ってゆくと、背中一面に鞭の跡が赤くなまなましく滑っていた。嗚咽し続ける彼女に優しくすり寄り宥めていると、突如ボスのトンが怒鳴りながら入ってきて、彼女を執拗に殴り始めた。サレーンは逆上し、拳銃を抜き銃口をトンに突きつける。タン・ヨンもこの時とばかり、積もり積もった怒りと憎悪を滾らせ、「カ-・マン!」(殺っちまえ!)と容易に引金を引けずにいるサレーンを叱咤しけしかけた。身寄りのない孤児だった彼を育てて呉れたトンは育ての親でもあったのだ。引こうとしても身体が云うことを聞かず、苦悶し嗚咽するサレーンを余所に、傍にあったロープで、事もあろうに長い間彼女を苛んできたトンの男根を結いつけ開いた口に掛けた。それだけは止めてくれとサレーンはタン・ヨンに懇願するがマジ切れした彼女は巌として撥ねつけ、ロープを引っ張ってバルコニーに出、そこから下へ飛び降りさせてしまう。もう後へは引けず、サレーンはタン・ヨンを連れて逃走する。 
 
 トンの嫁もタン・ヨンと同じ目にはあっていたが、密かにナンバー2の幹部と密通していた。それがタン・ヨンにもばれてしまった矢先の出来事で、嫁と幹部はニンマリ。そして逃げたサレーン達を追わせ、跡目は嫁と幹部が引き継ぐ運びとなる。厄介者のカオ-ロッド一味の抹殺をパフラットのボス・ダーダーと共謀。そんな事とは知らぬカオ-ロッド一味は、占い師を締上げレーン達の居場所を聞き出す。中国寺院か道観の境内で、サレーンは銃撃され瀕死。死にきれず痙攣状態のサレーンの背中からタン・ヨンは銃の引金を引く。サレーンに止めを刺し自分の胸をも撃ち抜いたのであった。と、そこにトンの嫁とダーダーが配下の者を引き連れて現れた。ニンマリ顔のカオ-ロッドではあったが、忽ちにして蜂の巣にされてしまう。こんなはずでは・・・
 最後(冒頭にも)にやや低めの声の恐らく占い師のナレーションが入るが、これが結構雰囲気を盛立て、流れてゆく誰もが見知っているヤワラートの夜景の中にゆっくりと溶け込んでゆく。

 監督のナムチョーク・デーンプットってこれ一作しか僕は知らないけど、インターネットで捜してもこの《ヤワラート》しか載ってなく、祥びらかでない。
 カオ-ロッドのクリッサ・スワンパ-プは時々見かける役者で、このカオ-ロッド役なんて正に真骨頂って処だろう。《ナンナーク2》で主演していたけど、映画自体が余りにもお粗末で全然冴えなかった。

サレーン    チャクリット・イェムナム
カオ-ロッド  クリッサ・スワンパープ
タン・ヨン   ダーラーワン・ヴィライガーム
マイホン    スチダー・ハーンウィセート
トン(ボス)   サタワット・ドゥライウィチット
トンの妻    アチャラー・ルワンサワット

監督 ナムチョーク・デーンプット

制作 WPM 2003年

Yawarar2_2

Yaowarat  

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