アジアン風味 中国の茶(チャイ)
アジアを旅していると必ず何処かで観かけ、亦口にするのが茶(チャイ)だ。茶の本場中国を初めて訪れた時も、早速上海空港近くのホテルの部屋に最近は色々種類も豊富だが、その頃はもうそれしかないようにジャスミン(茉莉花)茶のティー・バッグが茶碗と花柄ポットと一緒にテーブルの上に並べてあった。薄く容易に出ない粗末な代物で、それでも、これぞ中国風味と想像力を逞しくして美味しく頂いたものであった。
砂漠の町カシュガルの葡萄棚の下の冷んやりした木陰のチャイ屋で、敷き詰めたカーペットの上に直に坐わり地元の白いあご髭の老爺やなんかと並んで、日本の旅館なんかで出す飲み口の広くなった形の湯飲茶碗で七彩の花柄をあしらった茶瓶から濯いで飲んだこともあった。茶の種類は定かでなかったが、何しろ雰囲気はもうシルク・ロードのオアシスのそれで、それだけで十分に堪能できた。
あの日本の旅館や食堂なんぞで使用されている湯飲みって、日本に居るときは何ともムサい代物と馬鹿にしていたが、一歩大陸に渡ってみると、砂漠世界の住民達すらが使っている汎アジア的な形であることを知り、改めて見直してしまった。唯、国内の大抵の物は、やはりお座なりな代物が多く、大陸の方は観ているだけで、粗末な物であっても、何かしら趣が感じられる。路上の日蔭のあちこちに規模の違いはあれチャイ屋が点々と散在していて、カーペット一枚の見るからに腕白そうな少年が営っているチャイ屋もあった。
広場なんかでは、大きな氷の塊が入ったホーロウの洗面器に濯いである冷えた茶を飲ませる店も有った。これは大抵テレビとビデオが備わっていて、ビデオを観ながらチャイを飲むというカンボジアはじめ東南アジアなんかにもある営業方式。昼真っから只見の子供達で溢れてたりしていた。
上海の豫園の湖心亭は有名な茶館で、何度か脚を運んだことがある。
余りに観光コース化し過ぎているけど、早めに行けばまだのんびりと出来る。鉄観音のセットを注文すると、ポットと保温用の大きな容器の上に小さめの茶褐色の急須とミニ湯飲茶碗、小皿にうずら卵と豆腐の点心、そしてオシボリが出て来て、伝票を見ると、〈上海老城隍庙湖心亭茶楼〉と銘打ち「套茶」12×1とあった。套はセットの意味で、12元。さすがにもう鉄観音の味までは覚えていない。十時前になって漸く点心のウィンドゥの中に饅頭が並べられ、潮州名産の「双仁細沙」、「精制老婆餅」二個一皿で4元。味はそこそこだったと思う。別の店で買った月餅の方が美味かったとは日記にある。
上海の目と鼻の先の紹興にも魯迅がらみの有名な茶館があってそっちにも行きたかったが、結局未だに行けてない。観光客で犇めいていては到底阿Qや吶喊、老舎の茶館世界に浸るなんて出来やしないだろうが。
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