« 《クローバー・フィールド》HAKAISHA | トップページ | 暗いスクリーンの金切り声 The Screen at Kamchanod »

2008年4月20日 (日)

タイ女

 Photo  

 タイの新聞なんかで、タイの女の絡んだ生々しい事件等をみるにつけ、確かに日本人旅行者達の云う通り「危ない」と思うけど、同様にタイの男もかなり危ない。
 翻って日本でも、新聞やテレビのニュースで毎日果てしなくタイ男達が可愛いと憧れているらしい日本娘=女の絡んだえげつない事件が目白押し。警察署の中ですら、婦人警官が痴情沙汰で同僚警官に包丁を振り回すお国柄、余り余所の国の事をとやかく云えた義理でもない。

 タイ男達に云わせると、タイの女は「気が強い」らしい。
 旅行者達は更に「危ない」、「内に狂気を秘めている」と追い打ちをかける。
 自分の旦那の浮気相手を、怒鳴り込みに行ったり嫌がらせ電話を掛けるなんて大して効果が有ると思えぬ遣り口なんて端から無視し、直截に包丁で刺し殺したり、金があると殺し屋を雇って抹殺してしまう。勿論浮気した旦那を刺し殺したり、殺し損なったりは記事にも成らないのかも知れない。
 一説によると、南に行けば行くほど、過激になるらしく、タイの南の男の大半は腹か背に女の刺し傷の一つや二つは当たり前らしい。独立や宗教で揉めていて爆弾や銃撃事件が多発し、その上、嫁さんや愛人の包丁の危機に晒されたりでは、南の男達も堪ったもんではあるまい。
 しかし、もっと南のマレーシアやインドネシアでは如何なるんだろう?

 僕もバンコクの周りの女達を眺めたりしていると、「気の強い」タイ女的現象にぶつかることもあるが、実際には知れている。せいぜい、すり込まれた「内に秘めた狂気」というイメージが女達の姿の上に明滅するぐらい。が、包丁沙汰とまでには至らないけど、やっぱり!、と思わせる出来事に遭遇したことはある。

 あれは、昼前の、まだ朝のセット・メニューの時間帯であったが、バンコクの歓楽街パッポンのスリウォン通りに面したマクドナルドの一階の奥のテーブルに坐ってゆっくりセット・メニューをそろそろ食べ終わる頃であった。斜め前に陣取っていた二人の三十代とおぼしきタイ女のテーブルに、別のスラリとした同じく三十代の網式の買い物袋を提げた女がやって来た。女三人待ち合わせか・・・ぐらいに格別気にも留めないで居たら、突如その女がテーブルに居た一人の女の頭上にその買い物袋をうなりを挙げて叩きつけた。
 最初、てっきり冗談でやっているのだろうと、それにしては些か強く叩きつけたもんだなーと、ちょっと遣り過ぎじゃないかと訝っていたら、続けて二度三度と網式の買い物袋を満身の力で叩きつけ続けた。叩かれた方の女も椅子から起き上がって、三人目の女に飛びかかっていった。僕は自分のテーブルの上にまだ食べ残したメニューが載っていたので、引っ繰り返されちゃー敵わんとばかり、ズルズルとテーブルを背後の壁いっぱいに引き寄せた。前にも後ろにも退路を断たれ、嫌でも眼前の彼女達の乱闘騒ぎを直視する他なかった。二人の三十女達が取っ組み合いを始めた頃になって、漸くカウンターの奥からマネージャーらしき男が現れ止めに入った。他の連中も仲裁に入ったけど、容易には二人とも引き下がらなかった。
 まだ昼にもならない陽の燦々照りつける外人観光客も多いマクドナルドで乱闘騒ぎとは・・・

 それよりもちょっと前だったか、隣国カンボジアの首府プノンペンのハイソな通りとして知られているシアヌーク通りに中国系のカンボジア人の営っていたフランス・パン屋の前の通りで人がいっぱい群がっていた。
 何かと思って近づいてみると、何と歩道と車道の境目辺りで、二人の女が言い争いをしていた。傍にバイクが置いてあり、如何もバイクのトラブルらしかった。片方は風貌は普通の色白の中国系カンボジア娘、もう一方は典型的なそこそこのチェンマイ美人。と、突然取っ組み合いが始まった。歩道の上を転がって、どっちもそれなりの格好をした女が組んずほぐれつの肉弾戦を始めたのだ。僕は唖然としてしまった。おまけに、チェンマイ系のタイ女の方が、やがて何と膝蹴りを連発し始めた。幾らムエ・タイの国から来たからって、膝蹴りかよ・・・呆れっぱなしで傍観するしかなかったが、誰も止める者は居なかった。
 最初は互角だったのが、膝蹴りの連打あたりから形勢が若干タイ女の方に有利になったように思えたものの、しかし決定的なものではなかった。が、その内若いカンボジア娘が、ふと自分の頭から血が流れているのに気付いた途端、急に怖くなったのだろう子供のように鳴き声をあげ始めた。その頃になって漸く仲裁が入り、タイ女に軍配が上がった。(カンボジア娘が特に頭に攻撃を喰らったて感じではなかった。頭は皮膚が薄いのでちょっとした傷でも出血し易い)
 が、僕としては、哀れな若いカンボジア娘の方に声援を送りたかった。三十路のタイ女は太々しく、勝ち誇ったように泣き出した娘をあざ笑っていた。  

 ある新聞にタイ女の凄さを窺わせる記事が載っていた。
 タイ南部のある町で、ある女性の葬儀の最中に、何と棺桶に入っていはずの女が突如現れ、ピーだ、ピーシンだと一同大騒ぎ。
 これは極く稀に有ることだが、「何で私が死んでなきゃならないのよ!」とばかりに、入っていた棺桶を蹴破って現れ出たのでなくて、堂々と入口からその女は入って来たのだった。パニックに陥った参列者を前にして、女は訥々と事情を話し始めた。
 実家に子供を預け、知人の家に身を寄せていたのだが、実家の方に、警察から、その女の死体が発見されたので身元確認して欲しいと連絡があり、家の者が行って確かめてみると、果たしてその女だった。で、葬儀を執り行っていた次第。久し振りに女が実家に戻ってみたら自分の葬儀が行われていたという次第。他人の空似という事に過ぎないのだが、何やら、タイ女の業と謂うか執念みたいなものを覚えてしまう。おまけにやっぱりタイの南なのだ。

3

2

|

« 《クローバー・フィールド》HAKAISHA | トップページ | 暗いスクリーンの金切り声 The Screen at Kamchanod »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 《クローバー・フィールド》HAKAISHA | トップページ | 暗いスクリーンの金切り声 The Screen at Kamchanod »