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2008年4月11日 (金)

《ドラゴン怒りの鉄拳》精武門

  Dragon1

  70-80年代汎亜細亜的英雄、ブルース・リー李少龍の第二弾。
 これぞ中国、否、汎アジア的怒りの炎、血塗られ疲弊した大地を突き破って現れた怒れる黒龍の吐き出した燎原の炎。
  って、まるで映画ポスターに羅列された決まり文句のようだが、しかし、この映画はハリウッド・エンターテイメント《燃えよ!ドラゴン》と相異して些か政治性(表面的な政治ではなくもっと本質的な)を帯び、汎アジア的拡がりをもってしまった。否、世界的と云っても過言ではないのかも知れないが、定かではない。
 
 羅維(ロー・ウェイ)監督の造りは必ずしもスマートではない。正に香港映画ではあるが、それ故に一層陳真(B.リー)の憤怒と絶叫が生々しく映えてくる。やっぱし、この映画は、【東亜病夫】と【華人與狗不得入内】(中国人と犬は入るべからず)がキー・ワードだ。

 1909年、師匠・霍元甲の急な死を聞き陳真(ブルース・リー)は上海に戻り、「精武門」道場に駆けつけた。が、道場に戻ってみると、葬式の隊列は既に出発した後であった。陳真は信じられなかった。否、道場生達も師匠の急死に疑問を抱いていた。
 初七日の日、道場には多くの関係者達が集まっていた。そこへ虹口に道場を持つニッポン柔術「起倒流」の通訳ウーと高弟達が現れ、【東亜病夫】の扁額を「精武門」一同に手渡し、愚弄し挑発する。が、師範が師匠・霍元甲の言付けの尊守を命じ挑発に乗らせなかった。それでも、突然の師匠の死が信じられぬ陳真は堪えられず、単身道場の連中には内緒で虹口道場へ赴く。残念なことに虹口道場の師範・鈴木(橋本力)は外出中で、師範代(勝村淳)達全員を叩きのめし、屈辱的な【東亜病夫】の扁額を突き返した。
 「中国人は病夫じゃない!」
 と、捨てぜりふを残して。
 
 やがて「精武門」道場内に潜り込んだ鈴木達の手先二人が霍元甲を毒殺したことを陳真が知り二人を思い余って殺害してしまう。そして街路の電柱に二人の死骸を吊す。さすがに、こんなシーンはジェット・リーの《精武英雄》には描かれてない。時代の相異・流れってところであろう。
 彼等の話から、"ウー"という人物の名が浮かび上がり、それが鈴木達の通訳ウーであることに思い至る。人力車夫に化け、ウーを袋小路で問いつめると鈴木に命令されたと白状し背後から陳真に襲いかかり逆に殺されてしまう。そして又ウーの死骸も電柱に吊す。
 鈴木達は上海警察に陳真の引き渡しと「精武門」の閉鎖を迫っていたが、一向に埒があかずとうとう業を煮やしてニッポン総領事まで担ぎ出す。 起倒流・虹口道場の総力を挙げて「精武門」殲滅を企んで道場を襲撃に向かった直後、陳真が虹口道場に現れる。居残っていた下っ端に手を下したくなかったが所詮愚輩の徒ばかりで片っ端から陳真の鉄槌を喰らわさせられてしまう。《燃えよ!ドラゴン》で賭に乗せられた医者役で笑わせてくれた師範代も刀で襲いかかったもののやっぱり倒されてしまう。奥の鈴木の書斎に迫り、亡命ロシア人を先ず片付け、最後に師範鈴木と一騎打ち。豪腕ペトロフが殺られてしまうのを目の当たりにした鈴木は、最初から刀を握って待ち伏せ。勝敗はもう見えていた。
 陳真が「精武門」に戻ってみると、大半の門下生が殺され横たわっていた。茫然として一階に階段を降りようとすると、師範代や警察署長、総領事達の話し声が聞こえてきた。陳真を引き渡さないと、「精武門」を閉鎖する、と。陳真に、もはや、残された途は一つしかなかった。名乗りを上げ、堂々と階段を降りていった。そして警察署長に約束させた。
 「俺が自首すれば、決して精武門は閉鎖されることはない、と」
 署長も「中国人の名において」と確約し、連行されてゆく。外に出ると、門前にずらりと欧米列強と清軍が銃を構えて待ち構えていた。陳真は沸々と内側から滾り拡がってきた怒りの化身と化し、一撃必殺の跳び蹴りを喰らわさんと渾身の跳躍・・・

 DVDだが十年振りぐらいに観た《ドラゴン怒りの鉄拳》精武門は、さすがにちょっと色褪せていはしたが、やはり面白い。映画館で観れば、もっと迫力があって更に面白かったに違いない。ジェット・リーの陳真と違って、ブルース・リーの陳真はやたら怒りっぽい。正に怒りの化身だ。もろ時代を反映している。当時の香港はじめシンガポールやタイの中国系住民達の熱狂が聞こえてきそうだ。大陸中国では果たして如何だったのだろう。紅衛兵=文化大革命の頃なので、先ず上映なんて有り得なかったろう。尤も、その十年前ぐらいに上海で作られた映画・舞劇《小刀会》なんかと見較べても共通するものも少なくない。両方とも、「毒草」のレッテルが貼られ、自己批判を迫られたであろう。
 日本の風俗を彼等なりにアレンジし変容させた数々の意匠は、嘗てはアメリカ映画でもやられたことだが、本当に面白い。ある種の日本人はこれらを嫌い非難までするけど僕にはさっぱり理解できない。ジェット・リー
も主演した《東方不敗》中のそんな箇所も仲々面白かった。
 
 
 キャスト 
    ブルース・リー(李少龍)
    ノラ・ミャオ(苗可秀)      
    田豊  劉永  小麒麟  田俊
    橋本力 勝村淳 ボブ・ベイカー
   
 スタッフ
    監督 羅維
    脚本 羅維
    音楽 顧嘉輝
    撮影 チェン・チン・チェー
 制作 ゴールデン・ハーベスト 1971年(香港)

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