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2008年5月10日 (土)

たゆたう蠱惑の歌声 : ビーナ・サハスラブッデ

  Vsahasrabuddhe

  ラジャスターン砂漠の小さなオアシスの町、数少ないブラフマンの聖地とも云われているプシュカル。
 夜の帳りも降り、店々の灯が通りを淡く照らし出し、様々な風体の巡礼者達と一緒にそぞろ歩いていると、何処からともなく、蠱惑的な女の少しハスキーな歌声が流れてきた。
 その艶やかな歌声に惹寄せられるように、壁に自作の絵を並べたある小さなハンディー・クラフト屋の店先に至った。、中は工房にもなっていて、両側に大きなスピーカーが据えてあり、そこからその妖艶とも謂える歌声が流れていた。まだ若い髭を蓄えた画工の青年が、にこやかに、その歌声の元のカセット・テープを見せてくれた。
 《BHAKTIMALA》shiva vol.2   Veena sahasrabuddhe
                             Living Media India Ltd. 1991  Rs.55
これは、ニュー・デリーのコンノート・プレイスにある音楽出版社らしいく、"Music Today"と銘打ったシリーズの一つらしい。
 
 それまで、映画音楽やR.シャンカルなんかの器楽曲、あるいは男達の今一つ琴線に触れぬ宗教歌しか巷で聞いたことしかなかった。インドにも、
こんな宗教音楽と女性歌手が居たのかと、眼からウロコが落ちる思いだった。
 曲調が今までのと違っていて、歌詞は全てサンスクリット語。今時、サンスクリット語自体に神秘的なものを求める物好きも居まいが、古い宗教曲は皆サンスクリットらしい。その古い古典に、現代的感性をミックスし編曲したのが、このMUSIC TODAYシリーズらしい。
 確かに、遙か古えのインド世界の響きに、ラビ・シャンカル以降の新しい響きが微妙に混わり、現代の我々にも馴染み易く入っていける。
 裏面には、来日したこともあるGUNDECHA BRS.が入っている。これも仲々好い。YOUTUBEに東京サマー・フェスティバルでの"シバ、シバ、シバ"のビデオがあり、これがこのテープB面の最初に入っている。十数年の経過を経た最近の彼等の唄とまだ今より若かった頃の唄を聴き比べてみると面白い。(このカセット・テープは、今でも、"Music Today"で検索するとサイトが有り、入手出来る。)

 このバクティマラ・シリーズには他に、女性歌手アシュウィニ・ビッデ
等も入っている。ガネーシャ(ガナパティー)の賛歌を唄っているA.ビッデはV.サハスラブッデと違ってちょっと鼻声で、揺らめ続ける曲の中でのその鼻声は一種独特の効果をあげていて、このシリーズに入るくらいだから有名なのであろう。YOUTUBEで聴いたら鼻声ではなくなっていた。十五、六年も歳を喰って声質も変わってしまったようだ。同じ項にV.サハスラブッデの映像もあり、メンバーが皆女性だった。さすがに声は嘗ての蠱惑性は影をひそめてしまったが、逆に枯れた深みが出て来ていた。

 何年かして、同じプシュカルのメイン通りの途中の角の本屋も兼ねたミュージック・テープ屋で、V.サハスラブッデの三本組のテープ・セットを見つけた。
 《The Awakening》RAAG GURJARI TODI    Plus Music  1995 Rs.60
 この60ルピーはテープ単体の定価で、このプラス・ミュージックというのはボンベイにある"プラス・チャンネル"の会社らしい。"プラス・チャンネル"はインドのテレビ局だったはず。
 こっちの方は、宗教曲では無く、ラーガ。"バクティマラ"と異なって、今風なメリハリはなく、本来の古典的な楽曲そのままのようだ。
ゆったり流れるインド的時間そのもの。唄・曲とも申し分ないけど、延々と果てしなく続く。三本組なのだ。ラーガなんて、嘗ては夜通し演奏されてきたものらしい。ミニアチュール絵画の世界だ。どっぷりと浸りたい御仁にはもってこいだろう。

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