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2008年9月24日 (水)

Under A Sickle Moon 旅先で買った本(パキスタン)

   Under_a_sickle_moon

   旅先で読むための本って、ホテルなりレストランに備わっているものはともかく、国内で買って持参するか交換したりするのが大半で、中にはその地の外人旅行者相手の古本屋・露店で買うこともある。で、ここで謂う"旅先の本"とは、旅先の国の一般書店で売っている本のことである。

 アジアの書店では、英語で書かれた本も可成りの割合を占めている事も多い。最近は知らないが、以前は中国の書店で英語で書かれた本なんて幾らもなかったが、それでも次第に割合が増え始めていた。
 フンジェラール峠を越えてパキスタン・インドに入ると、もう大半が英語書籍で、ウルドゥーやパシュトン語の本など情けないくらいに無い。インドだとヒンドゥー等の自国語で書かれた本の割合が幾分増えるぐらい。
 
 僕はパキスタンは基本的にペシャワール滞在だけど、中国ルートだとフンザ、イラン・ルートだとクエッタが増える程度。極端な時は、ボーダーから悪評高いラホールなんか歯牙にも掛けず即バスでペシャワールに直行し、一週間かそこら滞在して直ぐ又ボーダーにUターンって事もあった。 やはり、ペシャワールに多くのアフガン人が居るからだ。彼等がフレンドリーという事もあるし雰囲気が好い。正に中央アジアだ。それにパキのもアフガニーのもチャイとナーンとカバーブが美味い。

 僕の定宿は新市街に在り、サダル通りやそこから折れた奥にPIA(パキスタン航空)の事務所がある通りなんかに何軒か書店があった。暫くして、カブールの書店"SHAH M. BOOK STORE"も居を構えた。
 バザールには古本屋もありインドの映画俳優のボスターなんかも売っていて、シュリ・デヴィは幾らもなく、やっぱりマドゥーリ・ディキシツトが圧倒的に人気があったようだ。男ではサンジェイ・ダットだったか。古い雑誌や"歩き方"や"ロンリー・プラネット"等も並んでいた。
 書店は何時行っても客は疎らで、あれこれ物色しながら長居したものだ。やはり、ペシャワールということもあって、アフガン関係の書籍が結構有った。arbab通りのSaeed Book Bankで135ルピーで買った、英国の旅行作家ペレグリーン・ハドソンの1984年の夏から秋にかけてのアフガン行、

 "Under A Sickle Moon" a journey through afghanistan   (ABACUS)

  は、結構面白そうだった。
 ペシャワールのジャミアテ・イスラミを通して、ムジャヒディーンの一行と伴に、トライバル・テリトリーからアフガンに入国。当時は、ソ連軍が進駐していた時代で、カブールを大きく北に迂回し、バーミアンの傍を通過しナヒリーンまで至りマスード達の拠地パンシール渓谷を横切ってヌリスターン、そこから北部パキスタン(チトラール方面)へ抜けるコース。                                                           
 「その時、僕の傍に居たムジャヒッドが道の傍らに粉々になった木の切り株を指差して囁いた。
 "シュラヴィ(ソ連軍)だ!"
 空は深い緑から暗青色に変り、夏の星が輝いていた。道は闇の中で灰色となり、僕等の足跡は細かい土埃に掻き消えてしまった。・・・」    ChapterⅡ Lowgar

 "sickle moon"は所謂三日月よりもっと細い西洋の小鎌を思わせる月で、辞書には"鎌月"とある。イスラムは大体この細い三日月を使っている。この繊細なシャープさが雰囲気を盛立てる。

 「序」に作者がそのアフガン行に持っていった装備品のリストがあった。如何にもバック・パッカー然として共感が持て、それもこの本を買った動機になった。コピーのスイス・アーミーナイフやムジャヒディーン達のインタビュー用のカセット・テープ・プレーヤーなんかもリストにあり、バッハやヴィヴァルディ、ドアーズやボブ・デイランの音楽カセット・テープも。 
 
 巻頭の「謝辞」の最後に"Tokyo  june 1986"とある。彼は以前、東京の英国領事館に席を置いていたようで、この本の執筆の為に再び東京に戻っていたのかも知れぬ。その後、ロンドン銀行の東京支社に勤めていたらしい。その頃、二冊目の"A Circle Round the Sun"を執筆したようだ。現代の日本文化に関するシビヤーな著作らしいが未見。どちらも国内では翻訳・出版されてないようだ。
 この本、買ってから、ほんのちょっと辞書と首っ引きで読んだけど、もう次のが机の上に積んであり、すっかり黄ばんで本棚に収まったまま。結局、これも現地の雰囲気を醸し出す調度みたいなものなのだろう。

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