« HUM ボンベイ 1991 | トップページ | 萬暦の東方不敗  《笑傲江湖》Swordsman 2 »

2008年11月18日 (火)

プシュカル(2)

  Pushkar_b0

 

  プシュカルの町は、小じんまりとした町ではあるが、何よりもブラフマーの聖地としてインド各地からの巡礼が集まり、ラクダ祭りの時はもっと大勢訪れるらしい。

 それでも、ちょっと郊外へ向かう道をトボトボとひたすら歩いて行くと、静かな小さな集落に至る。ここにはオールド・プシュカルと呼ばれる湖がある。

 

 十七世紀、ムガール帝国のアウランジェブという頑固な皇帝が居た。

 自分の信仰しているイスラム教以外の宗教を認めることが出来ず、ヒンドゥーの神々を祀った寺院の破壊を始めた。アジメールにやって来た折、ペルシャのスーフィーの聖人カワジャの廟に参内し、プシュカルにある寺院の破壊を祈念した。

 プシュカルのヒンドゥー寺院をすべて破壊しようと謀んでやって来た皇帝と軍隊が、オールド・プシュカルまで至った時、皇帝はその湖で顔を洗った。そして、ふと、水面に映った自分の顔を見てみると、頭が真っ白になり、顔自体もすっかり老いた老人のものに変わっていた。驚いた皇帝は、プシュカルの霊的力を思い知り、プシュカルの寺院の破壊を思い留まった。

 それ以来、この湖を、Budha Pushkar(old Pushkar)と呼ぶようになった。 [know pushkar the holiest place of the hindus]

 

 何度か訪れたけど、村の中心たるオールド・プシュカル湖は、いつも緑色の藻が禍々しく表面を覆い、僅かに残った水底に微かに魚影が窺えるばかりであった。この水は、低い山脈を越えた隣のアジメールの町の水源でもあるらしかった。黄緑に変色したような藻を見下ろしながら、こんな水をか、と思わず唸ってしまった。

 それはともかく、この鄙びて静かな佇まいの村は、何とものんびりとしていて、ふと、遙か昔に紛れ込んだような錯覚すら覚えさせる雰囲気は中々捨て難い。

 この湖の畔に小さな寺院が建っている。

 今ではすっかり大人になってしまったろうが、最初に訪れた時は未だ少年と言っていいくらいの若いブラフマン兄弟が守っていて、初めは中庭には入れて呉れたけど、法外なバクシーシを要求されたんで断り外に出た。それ以来って訳でもないのだろうが、外人を目の敵にしていて、外人が近づくと、建物の上に昇った兄弟が罵声を浴びせ出した。

 まあ、元々ヒンドゥー寺院は基本的には異教徒は中には入れないので、そんなものなんだろうが。プシュカルのガート入口周辺の寺院や祠堂なんかには悪質なのが居て、額に赤い染料を勝手に塗っておいて、あるいは中に入れさせておいて、後になってバカ高いバクシーシを執拗に要求してくるのに較べれば、まだ純朴な方だろう。

Pushkarb3

 

 アジメールとの間に連なる山脈に近い場所に、インディー・ジョーンズにでも出てきそうな切り立った断崖のある一角に、小さな祠堂がある。

 いつもサドゥーなのかその祠堂付きの坊主あるいは寺男なのか定かでない男達が焚火の周りに屯していた。行くと早速チャイなんかを作って振る舞ってくれたりしたけど、その崖下に、ぽつんと小さな扉があった。訊くと、長さ数十キロにも及ぶ洞窟の入口という。開けて見せてくれたが、薄暗い人一人がやっと通れるくらいの穴が続いていた。山脈の下を潜ってアジメールにでも続いているのだろうか。ひょっとして、あのシャンバラやアガルタに通じる秘密の通路ではなかろうか等と幻視してみても違和感はない雰囲気。

 ちょっと前まで、ハリウッド映画で洞窟探検ホラー映画が流行っていたけど、そこにもその映画を観た好事家達が押し掛けているのかも知れない。

Pushkarb6

Pushkar_b4

Pushkarb5

|

« HUM ボンベイ 1991 | トップページ | 萬暦の東方不敗  《笑傲江湖》Swordsman 2 »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« HUM ボンベイ 1991 | トップページ | 萬暦の東方不敗  《笑傲江湖》Swordsman 2 »