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2008年12月25日 (木)

ワールド・オブ・ライズ Body 0f Lies

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   ジョン・ウーの《レッドクリフ;三国志・赤壁の戦い》が陳腐な単なるスペクタクル・アクションでしかなく、おまけにメインの諸葛孔明、金城武じゃ十年早い。完全なミス・キャスト。若き日の三国志ならともかく。《地球が静止する日》も情けなかった。
 で、例によって男性千円の日の今日、今年最後の見納めとばかり、《ブラック・ダイアモンド》が面白かったのでデ・カプリオ主演ってことでそれなりの期待感をもって観てみた。
 冬休み初日で、寒い中、映画コンプレックスに学生達の姿少なくなかったけど、この《ワールド・オブ・ライズ》の会場には若い連中の姿は殆ど無く、年配者ばかり。確かに、他は若者向けの邦画しかないので、消去法的にここに集まってしまったのであろう。さすがに《おくりびと》はもう観たであろうし、終演してしまったようだ。
 
 昨年だったか、マイケル・マン制作の《キングダム》がアラブのテロリストと米国FBIの戦いをハリウッドお決まり的に描いていたけど、この《ワールド・オブ・ライズ》"詐瞞の世界"は、ジョージ・クルーニーの《シリアナ》並に可成りスリリングに仕上がっていて、以前同じリドリー・スコット監督が作った《ブラック・ホーク・ダウン》なんてゴミ映画と較べても遙かに上出来。
 ただ、それがないと映画じゃないみたいに、アラブ・ゲリラ(テロリスト)側の組織や指導者が、最後には必ず殺されたり捕まったりする非現実性を踏襲していたのが些か白けてしまう。幾らフィクションであっても、実-現実的な"政治的リアリティー"を求めていながら、肝心の所で、"遠山の金さん"じゃ何とも情けない。その点で、儲けるための映画ではないジョージ・クルーニーの《シリアナ》には及ばない。

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 舞台は中東。
 最初はイラク。イスラム原理主義テロリスト組織の指導者・アル・サリームを狙っていたCIAエージェントのフェリス(デ・カプリオ)のアシスタント・バッサームに、組織から自爆テロを命じられ怯懦したニザールという男から情報提供のコンタクトがあった。フェリスはCIA本部の責任者・ホフマン(ラッセル・クロー)と携帯で連絡を取りながら行動し、アメリカに逃げたがっているニザールの保護を願い出る。しかし、ホフマンは拒否し、彼を泳がし誰に殺されるか確認しろと指示する。結局、仲間に拉致されそうになったニザールをフェリスは口封じに射殺する羽目に。
 やがて、彼等のアジトに二人で向かう運びとなった。1万2000メートル以上上空に待機している無人偵察機プレデターから、フェリス達の姿を高彩度の映像を本部に送信し続けるる。この無人偵察機RQ-1プレデターはミサイルも搭載可能で、米軍のイラク侵略の時にも実戦配備されていたという。

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 《シリアナ》のラストで、シリアの王子の車をCIAのジョージ・クルーニーごと吹っ飛ばしたのも、恐らくこのプレデターであろう。昨年もっと高性能の改良型MQ-9リーパーも登場したらしい。当然、先で、この手の映画には登場することになるだろう。この映画でも、可成り出番が多く、イスラム・テロリスト側にも知られていてそれに対抗した作戦に出る。

 銃撃戦となるが、焼かれていた彼等の機密書類・データの一部を握って車に飛び乗り逃げ出す。が、すぐに、テロリスト側のジープ二台と再び銃撃戦。応援に駆けつけた攻撃ヘリに忽ち鎮圧されるが、テロリストの放った対空ロケット弾に被弾し車は大破しバッサームは粉々に、フェリスも重傷を負う。

  アジトから奪ってきた情報で彼等のヨルダンでのアジトが発覚。舞台はヨルダンに移る。
 フェリスはヨルダン情報局(GID)の最高責任者ハニ・サラームに会う。アリ・サリーム逮捕のため協同するためだが、ハニは、ホフマンや今までのヨルダンのCIAの責任者に不信の念を抱いていて、フェリスのオープンな対応とアラビア語の堪能さに、心を開く。それでも、"俺に嘘だけは絶対につくな!"と釘を差した。ここのシーン、この映画の中でも、可成りシリアスで、ハニ役のマーク・ストロングの演技とリドリー・スコットの演出が冴えている。デ・カプリオの表情も悪くない。

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 フェリスが幾らハニに対して信義を保とうとしても、本部官僚のホフマンが冷ややかに直接利害をのみ基準に物事を処理してしまい現場のフェリスがどんどんと窮地に追いやられてゆく。
 ハニが奸策を弄して協力者にした組織の男カラーミというパレスチナ人をも、ホフマンが勝手に自分側に引き入れようとして失敗する。それが基でせっかくフェリスがイラクのアジトで手に入れた資料で探し出せたアジトがテロリスト組織自身の手で爆破されてしまう。怒ったハニによってヨルダンから追放されてしまう。
 フェリスはあるエージェントと組んで、イスラム教徒のある団体の構成員のアラビア人建築家を利用して、テロリスト組織をデッちあげ、トルコの米軍基地の爆破事件を偽装する。犯行声明も出さず、すかさず件の建築家の口座に金を振り込んで、後はアル・サリームの組織が彼に近づいてくるのを待つばかり。

 ハニの怒りも解けフェリスはヨルダンの首都アンマンに戻る。
 早速フェリスは前回のアンマン滞在時に見初めたイラン人看護婦のアイシャに会いにゆく。彼女の姉に認められなければ親密な付き合いは出来ないとアイシャに云われ、彼女の姉夫婦の住む家を訪ねる。アイシャ役のゴルシフテ・ファラハニ、仲々チャーミングだけど本当のイランの女優で、去年ダリウシュ・メヘルジュイ監督の"SANTOURI the Musicman"というイラン映画に出演している。
 とうとう建築家が一味に誘拐されてしまい、フェリスの正体がばれてしまう。建築家は屍体となってゴミ捨て場にうち捨てられる。と、同時に、アイシャとアイシャの姉一家も誘拐されてしまう。フェリスに一味から連絡が入り、ホフマンと連携しながら郊外の荒野に赴く。数台の車に分乗した一味はフェリスの周囲をぐるぐる周って砂塵を巻き上げ、上空のプレデターから視界を遮り、どの車にフェリスを乗せたか分からなくして、四方に走り出した。さすがに、ホフマンも如何しようもなく追跡を諦める。
 アル・サリームの前に引き出されたフェリス、テーブルの上に寝かされ危うく胴体か首を切断される寸前、ハニの部下達が急襲し救い出す。アル・サリームも建物の外の車の中で逮捕される。
 アイシャ達の誘拐は、ハニが仕組んだ罠で、フェリスはまんまと乗せられてしまったのだった。全てに辟易し、CIAを辞めてフェリスはアンマンに残ることを決意する。勿論、アイシャと一緒になるために・・・

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 《ボーン・スプレマシー》的リアリズムでいうと、ヨルダンなんかにアイシャと結婚して住んでいると、幾らCIAを辞めたからって、一味の残党や他の組織のメンバーに確実に殺されてしまう。米国か他の国に移るしかないだろう。しかし、リドリー・スコットとしては、敢えて"中東も悪くはないんだ"と云わせたかったのだろう。
 
 
 フェリス    デ・カプリオ
 ホフマン    ラッセル・クロウ
 ハニ・サラーム マークメストロング
 アイシャ    ゴルシフテ・ファラハニ
 バッサーム   オスカー・アイザック
 アル・サリーム アロン・アブトゥブール
 ガーランド   サイモン・マクバーニー

 監督 リドリー・スコット
 脚本 ウィリアム・モナハン
 撮影 アレクサンダー・ウィット
 美術 アーサー・マックス
 音楽 マルク・ストライテンフェルド
 制作 ワーナー   2008年作品

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