« 平成・町おこし観光 あの"朋友"が・・・ | トップページ | 金子光晴《どくろ杯》 旅先の本 »

2009年2月14日 (土)

《パープル・バタフライ》 章子怡 於 上海1931

O1

   チャン・ツィイー(章子怡)に《パープル・バタフライ》という作品があったのは以前から知ってはいたが、中村トオルの名があったので引いてしまってそのままズルズル未見のまま来てしまった。別に中村トオルが嫌いな訳ではない。日本人の名が出ると大抵日本の企業が関与しているのが多く、先ずはズッコケたり鳥肌が立ったりが定式。勿論中には例外もあるけど。
 で、この作品は、しかし、中国・フランスの合作ということらしく、その範疇から外れていて、チャン・ツイーの作品の中では希少なタイプの映画で、面白く観させて貰った。

O1sk

 満州帝国時代の首都・新京(長春)の娘・辛夏(シンシア)には、満州育ちの日本人・伊丹(中村トオル)という恋人が居た。反日運動も活発になり始めた頃で、伊丹は徴兵検査を受けるため日本に帰国。彼を送った直後、彼女の家の前で、反日ビラを撒きに行こうとしていた彼女の兄達に、腹にダイナマイトを巻き付けた日本人が襲いかかりダイナマイトが爆発。兄達は爆死してしまった。

O1s

 数年後、辛夏は丁慧(ディンホエ)と名を変え、上海で反日の地下活動をしていた。"紫胡蝶"パープル・バタフライという謝明(馮遠征)をリーダーとした秘密武闘組織で、画面では、早速民間人にも多大な被害を及ぼすミスを犯しまう。
 上海駅に到着し現れるはずの彼等の未見の同志が、隣り合わせた別の客に背広を間違われてしまい、胸に紫胡蝶の刺繍の背広を着た司徒(劉燁)に謝明が声をかける。
 「先生の背広仲々素敵ですね。・・・最近買ったんです?」
 訳の分からない司徒は適当にかわそうとするが謝明も相手の顔を知らないので尚も食い下がる。と、そこに日本の特務機関員達が現れ、群衆で溢れた駅のホームで銃撃戦が始まる。 
 銃弾が飛び交う中、"紫胡蝶"の車が現れ人違いの司徒を乗せる。
丁慧も車の向かい側で自動小銃を乱射する特務を狙って引き金を引き続ける。見事特務を射殺するが、通行人の娘をも誤射し死なせてしまう。その娘こそ、人違いの男・司徒をこのホームで出迎えるはずだった恋人・依玲(李冰冰)であった。錯乱したままの司徒を乗せて車は背後から銃を乱射して追いかけてくる特務の車を振り切ろうと群衆の逃げまどうホームの上を走り続ける。
 頻(よ)くハリウッド映画で、車が人通りの多い町中や路地裏を突っ走るシーンがあるけど、普通なら考えられない無-死傷者パターン。けど、この映画では、も少しリアルに群衆が跳ね飛ばされたり脚をひき潰されたりする。

O1scksgh
 
 ここのシーン、この映画のアクション・シーンとしては見せ場で、冒頭の司徒を迎えに来た依玲がホームをゆっくり歩いてゆき、同時に線路を挟んだ向こうの(画面では少し上側に位置する)ホームに"紫胡蝶"の黒塗りの車が静かに止まり謝明や丁慧が降り立ちホームの先のこちらのホームに繋がった陸橋を昇って行く長廻しのシーンは雰囲気が醸し出されて悪くない。
 《ドラゴン・キングダム》でJ・リー&J・チェンを相手に派手な強面メイクで暴れ回っていた李冰冰(リー・ビンビン)が、この作品では随分と初心(うぶ)で可愛い電話交換手娘を演っている。それが忽ち丁慧の銃弾を浴び血塗れになって倒れてしまう。只、画面では、その後も死霊となったかの如く何回か現れる。最初、あれっ、死んでなかったのか、と驚いてしまったが、やはりそうではなく、作者のイメージ先行なんだろう。

 やがて、特務機関の新しい責任者として東京から伊丹がやって来た。満州育ちで中国語が堪能ということで特訓を受け瞬く間に出世したのだろう。 
 "紫胡蝶"の方は、特務のトップ・山本を狙っていて、丁慧が伊丹と満州で恋仲だったのを餌に伊丹に接近させる。が、伊丹も彼女の正体を承知の上かかわりを持ち続ける。只、彼女に対する愛情はまだ持ち続けていたようで、時が来れば一緒に東京に行こうと持ちかける。
 恋人まで殺された哀れな司徒、その後も反日組織と日本の特務機関との狭間で揺れ動くしかなくなってしまうが、最後には、日本系のダンス・ホールで伊丹を射殺し、自分も射殺されてしまう。
 山本と伊丹も殺されるが"紫胡蝶"の方も殆ど壊滅状態。生き残った謝明と丁慧は、反日デモの続く上海の通りを二人で決然として進んで行く・・・

O1skk

 この監督の以前の映画全て未見だけど、チャン・ツィイーを仲々巧く美麗に映している。劉燁も、主演の中村トオル以上に役者的には美味しい役柄で、この監督の特性らしい長廻しで生かされている。
 この監督、2006年作品"頤和園"で中国政府に五年間の映画制作禁止処分を受けているらしい。これも未見だけど、ブログ見ると処分受けるようなものではない、から過激な確信犯だまで評価色々。
 米ワーナーとインドとの合作映画、アクシェイ・クマール主演《チャンドニー・チョーク、中国へ行く》もインドでは既に、やがて米国や日本、海外でも上映されるはずが、万里の長城等のロケが敢行された中国での上映は未定とか。これなんか歌あり踊りありのコミカルなエンターテイメント、どう考えても、上映をグズる理由なんてまるっきり考えられない。まさか、パキスタンに対する政治的配慮なのだろうか。カラコロム・ハイウェイ以来の仲ではあるんだろうが。
 そのパキスタンですら、最近とうとうインド映画が解禁になったという。はてさて・・・

O1scks

                
 辛夏・丁慧   章子怡
 伊丹      仲村トオル
 謝明      馮遠征
  司徒      劉燁
  依玲      李冰冰

 監督   婁燁 ロウ・イエ
  脚本      婁燁
 撮影   王昱 ワン・ユー
  美術   劉維新
 音楽   ボルグ・レンバーグ
 制作    (中国・フランス)2003年作品

O1skkj

O1scksghg

|

« 平成・町おこし観光 あの"朋友"が・・・ | トップページ | 金子光晴《どくろ杯》 旅先の本 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 平成・町おこし観光 あの"朋友"が・・・ | トップページ | 金子光晴《どくろ杯》 旅先の本 »