« 泰国影歌的明星サーイ・チャルンプラ 《Sine》 | トップページ | ポスト・ナンナーク タイ恐怖映画 »

2009年3月23日 (月)

 《テッセラクト》 オキサイド・パン

Tr3

   ニコラス・ケージ主演の《バンコック・デンジャラス》、日本でも五月頃公開されるらしい。米国やタイで公開されてから余りに月日が過ちすぎて、てっきり我が南西辺境州だけ未公開になってしまったのかと勘違いまでしてしまった。サイト見ると興行的には転けたような感じだったが、スティーブン・セガールの《沈黙の聖戦》では端役扱いで、ちょっと出てすぐ殺されてしまったチャークリット・イェムナム、今回はちゃんとした役のようで是非一度観てみたい。
 パワリット・モンコンビシット主演の《レイン:バンコク・デンジャラス》、《ワン・テイク・オンリー:ソム&バーンク》はタイ・アクション&青春映画の画期的作品といえるだろう。そしてこの三作目といえる《テッセラクト》はオキサイド・パン世界を飛躍させた更なる画期的作品といえよう。

 オキサイド・パン、あるいはパン兄弟の"ホラー"物は頂けないが、アクション系だと俄然本領を発揮してしまう。舞台がタイというのも関係しているのではなかろうか。タイ映画自体、ずっと百花斉放時代が続いていて、オキサイド・パンもその一翼を担い続けている。
  《テッセラクト》とは超四次元立方体あるいは投影図の事らしい。
 英国作家・アレックス・ガーランドの同名の小説が原作で、未読なので関連の程は詳びらかでない。この手の、物語の時空を、特に時間の前後関係を切り貼りする手法はこの作品前後辺りから流行始めたようで、これからも映画館で見掛け続けるだろう。端的に言えば、世の中がG・オーウェルの《1984》世界にとっくに入ってしまっている事に照応しているのであろう。

Tr4
 
 英国人旅行者ショーンは、バンコクの旧い洋館のホテルの303号室に投宿した。
 この確か旧税関の巨大な洋館は仲々雰囲気があっていい。マット・ディロン主演の《シティー・オブ・ゴースト》のプノンペンの旧いホテルに擬した植民地時代の建物も正に"プノンペン"って感じが非常に好かったが、このバンコクの建物は建物自体が役所関係だったので殺風景にも拘わらず、背後の高層ビルと相まって、一種世紀末あるいは時間を超絶したような雰囲気すら湛えていて、舞台の中心に据えるにはもってこいのシチュエーションだったろう。
 やんごとない事情から、金のために、一個人旅行者でしかないのにも拘わらず、地元のマフィア=シア・トウから未精製の麻薬のブロックを預かり、約束の時間にシア・トウ一味に渡す仕事に就いていた。ホテルの外に出るとシア・トウの配下がくっついてきて鬱陶しくホテルの薄暗い部屋に閉じこもって連絡を待つしかなかった。ふと、ゴーゴーバーの踊子フォンから貰った手書きの名刺を思い出し早速部屋に来るように電話する。フォンはマフィアの男の恋人ロイがいて、近々一緒に英国に旅する事になっていた。

 Tr2

  そのホテルにウィットというボーイが居た。
 手癖が悪く、客の留守を狙って荷物から金目の物を盗み出していた。
 今日もローザという英国女が現れ、カウンターで大金を手に料金を前払いしているのを見逃さなかった。間髪入れずにその中年女の鞄を持ち部屋まで運び、ちゃっかりチップを貰う。やがて女が外出すると部屋に入り込み、鞄を開けて中を物色。故買商がDV(デジタル・ビデオカメラ)なら高く買い取ってやると云っていた正にそのDVが入っていてウィットはすっかりご満悦。とっ、そこに、仕事用のそのDVを忘れ取りに戻ったローザがドアを開けて入った来た。現場を押さえられウィットはひたすら両手を合わせて許しを乞い続けた。が、ローザは、DVが戻れば好かっただけで、許す代わりに、彼女の仕事、子供達の夢を聴いて分析するための、インタビューを受けさせた。どころか、小遣いまで呉れたのだった。

Tr1

 ローザは故国英国で、一人息子を病で亡くし、傷心していた。
 息子と同年配のウィットと接していると思わず亡くなった息子を思い出してしまう。
 部屋に戻る時廊下に群れていた警官に職務質問され、同じフロアーの一室で女の射殺死体が発見されたという。恐る恐る開け放ったドア越しに中を覗いてみると、ウィットが話していた夢と同じ光景なのに気付く。ウィットはその現場を見て夢と称していたのだ。
 ローザが町中のカフェで寛いでいると外で交通事故が起きた。よく見ると、肥えた男が車に撥ねられ、その向こうに何と逃げだそうとしているウィットの姿があるではないか。慌てて外に飛び出しウィットを追った。追いつき、別の一流ホテルの自分の部屋にウィットを入れ、ウィットが何処かに逃げ出したいと零したので半分に折った百ドル札の小さな束を呉れた。今夜はここに泊まって明日その金で逃げたいところに逃げればいいと。単純なウィットは余りの親切にお礼代わりに手にしていたプラスチック箱に入った未精製の麻薬のブロックをマンゴー・プリンと偽って渡す。無知なローザは嬉しそうに貰う。

 シア・トウ一味に未精製の麻薬のブロックを奪われたマフィヤのボスは、子飼いの女殺し屋リタにシア・トウの殺害と麻薬の奪還を命じ、リタはバイクでシア・トウ一味を襲うが失敗し逆に脇腹に被弾してしまう。ショーンの部屋に昇る階段の前の部屋に泊まり、応急処置で誤魔化しながら、連絡を待つしかなかった・・・・
 
 ショーンの荷物を物色したウィットが麻薬のブロックを盗みだしテーブルに置いてあった灰皿を代わりに箱の中に詰めておいた。その後、戻ってきたショーンがフォンを呼んだのだった。こんな風に、時間を切り刻みあっこっちに貼り付け組み立てた造りになっていて、特殊効果を多用した映像とうまくフィットして仲々面白い映画に仕上がっている。前二作とは随分と違った趣きで、この次の作品に期待が持てる。 
 
 結局は、カオダイ村の子供達に取材に向かうローザの処に全てが向かい、英国勢は蜂の巣、ウィットすら片耳を被弾し血塗れになってしまう。シア・トウの配下の、フォンの恋人ロイもショーンに頭を撃ち抜かれて即死。未精製の麻薬のブロックは、死んだリタの双生児の女殺し屋が取り戻し面目を保つ。
 
 ローザが映画の最初の方でこう云う。
 
 人生は混沌
 それでも
 運命に導かれている
 ひとつの因果が
 また別の因果を呼ぶ

Tr5
 

  監督 オキサイド・パン
 脚本 オキサイド・パン、パトリック・ニーテ
 原作 パトリック・ガーランド
 撮影 デーチャ・シーマンタ
 美術 ヴィサーヤ・ナヴァソン
 
 
 ショーン   ジョナソン・リース・マイヤーズ
 ローザ    サスキア・リーヴス
 ウィット   アレクサンダー・レンデル
 リタ     リナ・クリステンセン
 シア・トウ  ヴェラディス・ヴィニャラス
 ロイ     カルロ・ナンニ

 制作     (英・タイ・日合作)2003年作品

|

« 泰国影歌的明星サーイ・チャルンプラ 《Sine》 | トップページ | ポスト・ナンナーク タイ恐怖映画 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 泰国影歌的明星サーイ・チャルンプラ 《Sine》 | トップページ | ポスト・ナンナーク タイ恐怖映画 »