« 中国の叛乱 | トップページ | 《ギリギリの二人》 Nothing to lose ダニー・パン »

2009年7月12日 (日)

亜細亜的恐怖映画《ダブルビジョン》

Dv_11

   室内でのビデオと映画館のスクリーンで観るのとは、その迫力からして当然違うけど、アジアン・ホラーの場合、怖い映画って余り有りそうもないが、如何だろう。
 日本物とインド物は論外だし、韓国は結構怖そうだけどそんな作品にまだお目にかかったことがない。タイ・ホラー、我が南西辺境州じゃ映画祭ぐらいにしか機会がなくてビデオばかり。香港なんて、日本のと大差なし。中国のも《画皮》は未見だけど《荒村客桟》は情けなかったし、日本軍の霊が戦場を彷徨うシンガポールのもてんで怖くはなかった。後は・・・台湾。
 香港製の妖艶な怪奇時代劇ファンタジーの女優の原産地。ビビアン・スーも台湾だけど、ホラー出演は知らない。個人的には、香港女優よりも台湾女優の方に好きなのが多いが、このハリウッド・コロンビア映画と台湾・南方電影有限公司の合作、《ダブルビジョン》は、レネ・リュウという好みではない知らない女優(本当はアンディー・ラウの《天下無賊》で観ていたけど印象が薄いので覚えてなかった)と香港のレオン・カーファイが主演している。ビデオなんで、恐怖度は低いが、それでもやっぱりハリウッドが関与しているだけのことはあって、それなりにきっちり撮れていて悪くはなかった。スクリーンで観ると、恐怖度も少しは期待出来るだろうし、アクション・シーンももっと迫力増すだろう。

Dv_10

Dv_1

 DVDのコピーに、"4000年の時空を越え、蘇る道教〈双瞳〉伝説と〈五つの地獄〉になぞらえた連続怪死事件の真実とは" とある。

 ハリウッド・ホラーのキリスト教的オカルティズムに対抗して道教的オカルティズムを主題に持ってきたのだが、早い話、中国人のお好み、"不老不死"神話って奴で、それをハイテクと結びつけた犯罪="不老不死"的施術というのがミソ。この映画、筋運びそれなりに面白く出来ていて、如何にもハリウッドが関与したといわんばかり。(勿論小首を傾げるような部分もありはするが) 
 不老不死といえば、タイ・ホラーに《オパパティカ》という死霊と化した者達の"精"を吸い尽くして不老不死を続けていく吸血鬼もどきのひたすらなるアクション映画があったが、この〈双瞳〉ダブルビジョンの方は、基本的には刑事物。レオン・カーファイがその刑事に扮する。

Dv_8       
        
 台北警察のホァン(レオン・カーファイ)は、以前署内部の腐敗を内部告発し、起訴された親戚の汚職刑事に小さな娘をさらわれ、追いつめられた汚職刑事は人質の娘の頭を撃つ。同時に、追っ手の刑事に射殺されてしまう。運良く娘は頭部の掠り傷で済んだものの精神的トラウマとなって失語症になってしまう。おまけに、署内で浮き上がってしまい、余り仕事のない外事課へと追いやられ、次第に夫婦仲すら悪くなってしまう。
 やがて、不可解な連続殺人事件に巻き込まれ、米国FBIから派遣されてきたケビン(デビッド・モース)と共に、敵意を剥き出す古巣の殺人課の元同僚達の捜査に協力してゆくことになる。この辺はもうハリウッドの刑事・警察物の定式で、高倉健とマイケル・ダグラスが共演した、又松田優作の遺作でもあるリドリー・スコット監督作品《ブラック・レイン》の構図と同じ。因みに、マイケル・ダグラスはニューヨーク市警の汚職刑事だった。

Dv_6

Dv_5

 
 殺された被害者達は皆、道徳的な罪を犯した半人間として、五つの地獄を通過出来た者は"不老不死"つまり"永遠の生命"を得られるという道教の密儀の実践のために被害者となったのが判明し、犯人が米国帰りの元ハイテク企業経営者で、世界ビルの上階のフロアーに中国で発掘された道教寺院(道観)を移築し、そこを教団の本部にしていた。  殺人課総動員の本部急襲に、古い祭祀用刀剣を手にした教祖始め教団員は猛烈に抵抗し、死闘となって、大半の者が殺されるか負傷してしまう。ここの乱闘シーン、滅多にないシチュエーションもあって結構面白い。それでも、もう一工夫あればパーフェクトに迫力あるシーンになったはずで、残念。そして、祭壇の下に、薄物を着た若い女が腹の皮を剥がれ横たわっているのが発見される。

Dv_3

Dv_2

 実は、その娘こそ、"永遠の生命"を得るべき存在であった。
 娘は病院に搬送されるが、これで事件解決とホァンの自宅で深夜までビールを飲んだケビンが目覚めたホァンの傍のベッドで切り取られた自分の舌を片手に握ったまま死んでいた。ホァンは、"永遠の生命"娘を病院に尋ねるが、娘は消えてしまっていて、世界ビルの本部へと向かう。案の定、娘が居て、双瞳(道教的には超能力者)の正体を現し、幻術を駆使してホァンを殺そうとする。結局娘はホァンに射殺されてしまうが、ホァン自身も倒れてしまう。そして、ビルの外に駆けつけた嫁と失語症の娘の懸命な呼びかけで意識を取り戻す。

Dv_4  

 着想は面白いのだが、デティール的には可成り杜撰で、曖昧な箇所が少なくない。特に、肝心の最後の教団本部での、双瞳の娘との対決が曖昧に処理されていて、もう一つ印象が薄い。ステレオ・タイプな役所だけど、レオン・カーファイ仲々好演している。デビッド・モースは客演って感じでもひとつ冴えない。それにしても、やっぱり台湾映画と香港映画、役者の相違もあるだろうが、何処か雰囲気が違う。

 ホァン     レオン・カーファイ
 ケビン     デビッド・モース
 チンファン   レネ・リュウ
 リー・フェンボ レオン・ダイ

 監督  チェン・クオフー 陳國富
 脚本  スー・チャオビン蘇照彬
 撮影  アーサー・ウォン黄岳泰
 音楽  ソー・シンヤン 
 美術  ティン・イップ 葉錦添
 制作  南方電影有限公司・コロンビア映画 2002年(香港・台湾・米国)

|

« 中国の叛乱 | トップページ | 《ギリギリの二人》 Nothing to lose ダニー・パン »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 中国の叛乱 | トップページ | 《ギリギリの二人》 Nothing to lose ダニー・パン »