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2009年10月24日 (土)

2019年のディストピア 《ブレード・ランナー》

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   レプリカント(アンドロイド)達の叛乱の2019年に派生した一つのエピソード。
 戦後映画史に燦然と輝く近未来映画の傑作だが、三十七年後を想定して造られた様々なものの最大の基本前提、地球外遠く他の惑星に移り住む惑星移民や人間と見間違えるぐらいの外観と機能そしてそれ以上の能力を備えたアンドロイドの実現化はまだまだ遠い先の事柄で後十年では到底届きそうもない。いわんや、アンドロイドの叛乱なんて。

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 地球を汚染しまくり破壊し尽くして、他の惑星に殆どの人類が移住した後に尚も地球に居残り続けた人々って、地球が好きなのか、惑星に移るための費用や移った先での生活のあてがないのか、それとも惑星や宇宙での生活がそれほど快適なものではないからなのか。
およそ明るさというものが感じられない昼夜すら定かでない暗い地球の雰囲気が巧く描かれていて、ロスの街の特色なのか、単にデッカードがそんな区域が好きなのか、アジアン風味に溢れ、巨大な電子広告塔に揺らめく「強力ワカモト」の古色蒼然とした"ゲイシャ"スタイルのCMも好い。このCMって日本でも流れたことはないのではないか。何故、"ユンケル"でも"アリナミン"でもなく、日本でも余り知られてないはずの"ワカモト"なのか。この着想の出所を知りたいものだが、さすがにブログ浚っても出てこなかった。"ゲイシャ"仕様は、米国人好みなので簡単に了解できるが。

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 アンドロイド=レプリカント達の叛乱者=テロリスト達を抹殺するブレードランナー、そんな仕事に嫌気が差してリタイアしたデッカード(ハリソン・フォード)に責任者ブライアントから招集がかかる。デッカードの元同僚が、植民地先(惑星あるいは宇宙基地)で叛乱を起こし逃げだし地球に入り込んできた五人組レプリカントの一人に殺害されたからだ。手強い相手故に、辣腕ブレードランナーだったデッカードにお呼びがかかったという訳だ。
 舞台はロサンジエルス。
 巨大なビラミッドのような建物が建ち並び、その間を車が飛び交う。只、画面ではそれ程ビルの間や空中を飛んでる車の姿を見ないので、特定の車しか飛ぶことができないのだろう。恐らく、権力関係のみってところだろうか。
 長いカウンター式のジャパニーズ・レストランの屋台で、デッカードは握り寿司を四つ注文すると、親爺(ボブ・オカザキ)が「二つで十分ですよ」と応じ、仕方なく麺を更に注文する。ブライアントの部下のガフが彼を呼びに来てガフの車に乗ってゆくとき、フロントガラス越しに、ガフの横で彼が小さな器の麺を喰っているのが覗けて、これには笑ってしまった。汚染され尽くした地球であってみれば、当然寿司ネタもDNA操作の工場生産ものだろう。それすら数が配給制宜しく制限されていて、正にディストピアそのもの。

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 久し振りのブレードランナーの仕事だからと、ブライアントにウォーミングアップにレプリカント製造企業のトップ、タイレルの処にいるレプリカントのチェックから申し渡される。レイチェルという美貌の秘書で、タイレルにタイレルの姪の幼い頃の記憶を植えつけられ自分がレプリカントであることすら知らなかった。レプリカント・チェックを受け、レイチェルは漸く自らの出処に疑念を抱き始める。
 やがて、デッカードの住処を訪れ、事の真相を聞き質そうとするが、デッカードはお前はレプリカントじゃないと慰めようとしたものの、レイチェルは信じようとはしない。その時、デッカードは自分がレイチェルに愛情を抱いていることに気付き、出て行こうとしたレイチェルを押し止め、抱き合うことになってしまう。それでも、レーチェルは自らをレプリカントだと確信し、タイレルの処から逃亡する。逃亡レプリカントの一人を処分した時、ブライアントにその旨告げられ、抹殺リストに彼女の名がのせられてしまう。

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 同じ頃、廃墟ビルの一角に住まっていたタイレル社の技術者セバスチャンの前に逃亡レプリカントのプリスが現れ、彼の部屋で一晩過ごす。タイレルに近づくためだが、あくる朝、早速一味の親玉バッテイ(ルトガー・ハウアー)を手引きし、タイレルの処に案内をさせる。タイレルはセバスチャンと一緒に入ってきたのがバッティであるのが直ぐに分かってしまう。バッティは、俺達の寿命を延ばしてくれ、とタイレルに頼むのが、どんな方法を採ってもそれは不可能なんだと諦めるように説得し、今の残り少ない"生"を満喫しろと云う。遙か銀河の彼方からそのためにやって来た彼等であったが、断念する他なく、バッティは、タイレルの両の眼を自分の両手で潰し殺害する。その場から逃げようとしたセバスチャンをも。

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 タイレルとセバスチャンの死をブライアントに伝えられ、デッカードはプリスの隠れているセバスチャンの住処に赴く。間一髪のところで何とかプリスを処分できたものの、すぐにバッティが戻ってきて、プリスの死を知る。デッカード、必死になってバッティを攻撃するもののてんで歯がたたず、ほうほうの態で逃げ出すしかない。バッティは黒々と朽ちた建物の上へと、徐々にデッカードを追いつめてゆく。そして隣の建物の屋上に命からがら飛び移ったが、もうデッカードの体力の限界。屋上の梁から外に突き出た鉄骨にしがみついているのがやっと。次第にその力も萎えてゆき、上でじっと見下ろすバッティの目の前でとうとう最後の力も尽きビルの真下に落下するその刹那、バッティが片腕で彼を掴み助け上げる。バッテイはもう寿命がきていて、最後の力を振り絞ってたのだった。宇宙の彼方で自分達"奴隷"が見せられてきた光景を呟き、バッテイは静かに死んでゆく。

 デッカードは混乱しながらも、バッティ達、意識をもったレプリカント達の背負わされてきた憐れで過酷な運命を束の間垣間見たような想持ちにとらわれる。と、その時、ガフが現れ、これで総て了りましたな、とヒスパニック訛りに云い、「あの女も短い命とは残念ですな」と意味ありげに云い残して去ってゆく。
 はたとデッカード、レイチェルのことを思い出し、慌てて自分の部屋に戻ってゆく。果たしてレイチェル、スヤスヤと寝息をたてていた。急いで起こし、二人で、レイチェルの生命ある限り何処か遠くまで逃げ続ける旅にでることになる。
 ここで、【ディレクターズ・カット 最終版】は突然終了。

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 以前の劇場公開版だと、レイチェルは寿命が設定されてない、というデッカードのナレーションの続く余韻があったはずなのだけど、如何もそれは会社側が押しつけた"ハッピーエンド"的結末だったようだ。監督のリドリー・スコットとしては、あくまでレプリカントの寿命は四年で、それ故のドラマという訳だし、レイチェルも四年の短い生命しかないにも拘わらずのデッカードとの逃避行という過激なラブロマンス、メロドラマということなのであろう。

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デッカード        ハリソン・フォード
レーチエル        ショーン・ヤング 
ブライアント       M・エメット・ウォルシュ
ガフ           エドワード・ジェームズ・オルモス
セバスチャン       ウィリアム・サンダーソン
バッティ(レプリカント)  ルトガー・ハウアー
プリス(レプリカント)   ダリル・ハンナ
リオン(レプリカント)   ブライオン・ジェームズ
寿司職人         ボブ・オカザキ
目玉製造技術者      ジェームズ・ホン

監督   リドリー・スコット
脚本   ハンプトン・フィンチャー
     デイヴィッド・ピープルズ
撮影   ジョーダン・クローネンウェス
美術   デヴィド・スナイダー
音楽   バンゲリス
制作   ワーナー・ブラザース(米国)1982年

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