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2010年2月18日 (木)

タイの暴走する職業訓練校生  造反有理それとも群犬(マー・ムー)?

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  去る2月13日、あのタクシー運転手シリポン容疑者のバンコク日系少年バラバラ死体事件の母親の射殺体が発見された同じバンコクの隣パトゥム県で、今やすっかり悪名高くなってしまった職業訓練校同士の抗争事件があったらしい。
 今時職業訓練校生による暴力沙汰や犯罪は珍しくはなく、走行中のバスの中で、若い娘が彼等のグループに強姦されたなんて事件ざら。以前頻く泊まっていたバンコク・シープラヤーのゲストハウス近くのゲーム屋に朝から別に客という訳でもない若い二十歳前くらいの私服の手に教科書なんか持った十数人近くの男女がいつも待ち合わせしていて、ああ一人や数人だと危険なんでそれなりの人数で固まっての集団登校なんだなと、如何にも他人事のように軽く眺めていたけど、彼等にとっては決してそんな甘いものではなかったようだ。

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    事件は、バス停でバスを待っていたドゥシット・テクノロージー校の学生20人近くに、凶器を所持したパトゥムターニー・テクノロジー校の学生グループが襲いかかり、総勢50人近くの乱闘騒ぎとなった。駆けつけた警察にパトゥムタニー校の学生11人が逮捕され、手製爆弾も押収されたという。所謂ピンポン爆弾らしい。更に、その際負傷したドゥシット校の学生3人が収容された病院にも、同じパトゥムタニー校の学生10人近くが襲撃を加え、学生達に暴力を揮い、あげくピンポン爆弾を投げつけ逃走したという。但し、その爆弾が破裂したのかどうか、一般患者や病院職員達にも被害が及んだのかどうかは詳(つまび)らかではない。
 そしてその日の夜、バンコクのファッション・アイランド近くで、バイクで走っていたドゥシット校の二人連れに、背後から走ってきたバイクの男が銃撃し、ドゥシット校学生の一人は死亡、一人は重傷を負ったという。警察は件のバス停事件との絡みで捜査しているらしい。

 それにしても物凄い事件だ。
 バス停での乱闘時には拳銃を持っていた連中もいたのだし、下手すると街頭での銃撃戦にすら発展しかねなかったということだ。それにピンポン爆弾が飛び交った日にゃ、周りの通行人やバス待ち客達も堪ったもんじゃあるまい。数年前のタイ警察がデモ隊に投擲した中国製の催涙ガス弾でデモ隊の参加者が幾人も脚を引き千切られたりした事件を想起させる。その催涙弾がRDX(高性能爆薬)を使用していたんじゃ、「非殺傷性」のガスは単なる付けたしで実際はグレネード(手榴弾)でしかない飛んでない代物。(中国政府はこんな代物を暴徒鎮圧用と称して国内でも使用していたのだろうか?)
 タイは銃器は市販しているし、軍・警関係から幾らでも横流しもあるだろうし、更に南部からでも可成りな武器も入手できるのだから、早晩ピストルからマシン・ピストル→自動小銃→ロケット弾なんて、もうハリウッド映画並の展開になりかねない。政治的抗争の場じゃ、米軍のお下がりなのかグレネード弾発射装置M79すらもう常識になりつつあるのだから。こうなるとバスもおちおち乗ってられなくなってしまう。敵対校の学生達が乗ってるからって、ロケット弾をぶち込まれた日にゃ、五体もすっ飛んでしまうだろう。

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 似たような派手な事件は、昨年2月、あのバンコクのコピー商品の殿堂たる「マーブンクロン・センター」前で、ラーチャモンコン技術大学ウテーントゥワーイ校とパトゥムワン高等技術学校の100~200人近くの学生達が銃声や爆発音を立てながら乱闘を繰り広げた事件もあった。こっちは、職業訓練校と大学の学生間の抗争だけど、元々は職業訓練校と大学生達との諍(いさか)いが有名だったのだ。まだまだ階級社会の軛(くびき)が強く作用しているタイにあって、中流以上に対する下層中・上流階層の職業訓練校生達のコンプレックスって根深く、一朝一夕には解消されることはないようだ。クロントイの市場ですら開発業者と市場の連中とが頻繁に殺傷沙汰を起こし続けている如く、社会状況は逆に一層の軋轢を生み出し荒廃し続けている。(市場の連中が暴力的な悪徳業者に対抗するというのは、逆に荒廃化を突き抜ける契機を内包しているとも云えようが)

 それに事態はもっと低学年の小学校にすら及んでいて、昨年秋、南部クラビーの小学校の敷地内で生徒同士が喧嘩しているという通報で駆けつけた警察が何人かを拘束してみたら、ある六年生の生徒が、ナイフと拳銃を持っていたという。敵対する同学年の生徒達に使うために隠し持っていたらしい。いやはや、意外と高インフレ国家ブラジルの映画《シティー・オブ・ゴッド》的情況もそう遠くない日のタイなのかも知れない。

 そうなると、あの微笑みの国って一体如何なってしまうのだろう・・・

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