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2011年5月の1件の記事

2011年5月13日 (金)

ゴールデン・ウィークは映画三昧だったけど

Midnight_meat_train

  ゴールデン・ウィークてんで映画館に行くとろくなものはやってないし、ビデオ屋はというとこれも大したものはなく、無理してあれこれ借りてみたら、クライヴ・バーカー原作、北村龍平監督《ミッドナイト・ミート・トレイン》は結構面白かったが、これは昨年だったか一昨年だったか、タイのマイ・チャリンプラ主演のエグイい人肉クォッティヨ(タイ・ビーフン)屋を描いたスプラッター・ホラー《ミート・グラインダー》をYOU TUBEで捜しているうち偶然見つけた映画で、丁度真夜中眠い目をこすりながらも結構巧くできていると感心しながら全編観てしまった記憶のあったそれであった。
 何しろこの国は、やたら手前ミソな自慢ばかりな割には底なしにセコくみすぼったらしいのが特徴(?)でもあるかの如く、封切り上映が他の例えばタイやトルコなど後進国扱いの国よりも三ヶ月から半年あるいは一年以上も遅い。で、その差が、時間差としてYOU TUBEに反映されたに過ぎないが、まさかそれと知らずに借りて観てびっくり。北村龍平という監督の名もこのビデオを借りて初めて知った。当方が無知なだけで、国内でも名の知れた監督のようだ。
 早い話、異種の生物系のため、その種族保存のために、深夜の地下鉄の乗客達を餌にすべく屠るという設定で、大きな食肉(牛)解体用の強力なハンマーを振り回して、選ばれた怪力男が、夜毎、深夜の地下鉄に乗り込み、若い娘から、チンピラ、サラリーマンまで片っ端から強力ハンマーの一撃の下に屠り、異種生物の食べやすいように走る地下鉄内で解体処理までやってのけるという周到さ。ところが、たまたま偶然にその事実を知るところとなった写真家に、死闘の末、その栄誉ある役目を奪われてしまうというシニカルな結末。
 この手の疎外され異種化した者達の人間狩り(マン・ハント)譚って、この十年来の流行でもあるけど、ジェイソンやクルーガーなんかじやもう"9・11"以降の時代情況にはついて行けなくなってしまったってことだろう。

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 けど、それとは別にデビッド・リンチの娘のジェニファー・リンチ監督《サベイランス》はよく出来ていて面白かった。
 ジェニファー・リンチ、監督としてはどうも評判今一のようだけど、この作品に関しては悪くなく、巧く編集され構成されている。カテゴリー的にはホラーというよりミステリーだろう。それが程よくブレンドされたってとこ。ロード・ムービィーといえば、確かにストーリーはロード、ロードで舞台の警察署すら、行きづり殺人現場の一つでしかない。ホラーチックだけど、所謂アウトロー=ヒーロー・カップル物でもあり、痛快さがあってそこが魅力なのだろうか。その分、ひきたて役の警察達の悪辣さが際立つ。
 カナダ俳優マイケル・アイアンサイドが、一癖も二癖もある警官達を束ねる警察署長役を演じていていたが、超能力者映画《スキャナーズ》の怪演からはや三十年、オランダ俳優ルトガー・ハウアーのヨーロッパ的な繊細さとはまた異なった個性の柔軟な怪演俳優だ。
 
 FBIの肩書きを持つ主人公二人による警察署での、警官をも含めた事件関係者の取り調べと、事件へと至る関係者の足取りが同時進行に描かれ、その交差する結節点に、犯人の魔手からも免れた少女ジエニファーが居る。禍々しさを際立たせ、ストーリー展開のネックともいえる可憐な少女ジエニファー(ライアン・シンプキンス)を配したのは悪くはないけど、もう一ひねりあるともっと面白いものになったろう。これも、最近多用される「びっくり、主人公が犯人でした」方式の踏襲なのが、白けることなく面白く作られているのは、制作総指揮の親爺さんのサポートの故だろうか。
 警察署丸ごと手もなく屠(ほふ)るというのも、仲々痛快なものなのだろうが、この田舎の小さな警察署に脚を踏み入れた時から十二分に犯人カップルも堪能し尽くす。被害者の目撃女性も、最期には、二人に挟まれ、官能的絶頂の内に文字通り嬲り殺されてしまう。助かったのは、ずっと大人達とは外れた場所と好奇心でじっと事件を目撃していたちょっとシャイな感じのジェニファー一人。

Unknown
 

 ろくなものしかやってなかった映画館ではあるが、唯一テレビでスポットCMを流していたジャウム・コレット=セラ監督の《アンノウン》を観た。観ようとして他にないのでしょうかたなく入ってみたら、主人公が初老リーアム・ニーソンなのもあってか、客は殆ど年配者ばかり。妙に重い雰囲気に些かうんざり。邦画って所詮若い者向けでしかなく、そんな目先だけの安直なものばかりじゃこの国の映画産業もいよいよ先が見え透てしまう。
 別段期待してた訳じゃないので、前半の、しかしこれも今じゃ定番・定型の《シャッフル》なんかと同様の不条理的展開だけど、巧く編集・構成した錯綜とした展開は面白かった。只、後半のマット・ディモン主演の《ボーン・アイデンティティー》と同じ諜報破戒工作員的展開はアクション映画として見れば必ずしも悪くはないけど、前半の展開の雰囲気と些か違和感がなきにしもあらず。そのメリハリがネックといえばそうかも知れない。初老・高齢のバイオ・テクノロジー学者先生達のはずが、皆腕っこきの諜報破戒工作員=殺戮犯達でアクション全開ってところが見せ場なんだろう。おまけに、元東ドイツの情報部出身の老爺までが出てきた日にゃ。《ボーン・アイデンティティー》+《シャッフル》というアイデアとみれば別に問題はないのだろうが。只、原作のディディエ・ヴァン・コーヴラールはフランスの文学賞=ゴンクール賞を貰った作家というのが気にかかる。
 舞台はドイツのベルリン。米国と同じ欧米の都市なので、一見したところそれ程の相違も感じられないし特に情緒めいたものもない。(米国人が観れば又別かもしれないが)。スペイン=米国の《REC 2》だと、もろホラーにもかかわらず如何にも南欧スペインとばかり螺旋階段なんかが米国とは異なった雰囲気を醸し出して申し分なかったが。

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