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2012年8月25日 (土)

《プロメテウス 3D》神話的逆説

Prometheus1

 そもそもが《エイリアン》シリーズの続編あるいは前日譚として企画されたらしく、それが一人歩きして"プロメテウス"という名にかけたのか、"聖杯探求"ならぬミレニアム版"人類の起原"の長~い探求の旅と相成ったようだ。
 プロメテウスといえば、ギリシャ神話では、人類の創造者とか、天界からくすねてきた火をゼウスの禁止を無視して人類にもたらし、ゼウスの怒りをかって永遠の拷問の憂き目を見ることになった神で有名らしい。その、原初的おどろおどろしさを、80年後の遙か彼方の惑星に舞台を設定して映像化した一つの神話的故事ってところ。

 感想をだけを先にいえば、《エイリアン》に劣らぬ面白い映像性で気には入ったけど、《エイリアン》をおしなべていた、勿論"1"のことだが、静謐な宇宙の孤独って雰囲気に見合うようなものが欠如していたのが残念。"3D"ものの現在の"企業的限界"とでもいうべきなのか、3D的"アクション"に比重がかかり過ぎた当然の帰結であろう。それでも、目的の惑星に到着し、古代遺跡並みに古い基地の洞窟あるいは地下道(実は、宇宙船)を巡り、探索してゆく過程は、些か難点はあったものの、スリリングで悪くはない。初歩3D的な、「びっくり飛び出し映像」的なものから卒業した、3D映像にはもってこいの、ホログラフィーの多用はさすがリドリー・スコットの面目躍如ってところだろう。

Prometheus_2

     人類的創造者あるいは殲滅者

 基本設定は、《エイリアン》と同様、企業から派遣された惑星探査宇宙船とその関係者と目的地での未知との遭遇。 今回は、企業の本質たる企業利益追求だけのためではなく、経営者の"不死"という、しかしミレニアム的今日では逆にそこそこの寿命が基準になりつつあるし、権力・企業的にはもっと端的に映画《ソイレント・グリーン》並に上限がいよいよシビアーなものとなってゆきかねないのだけど、嘗ての秦の始皇帝なんかの古典的欲望と、始皇帝の不老・不死の探求、徐福の《蓬莱行》と軌を一つにした"不死"あるいは"永遠の生命"の獲得がその探索の契機となっていた。つまり、釈迦の昔からの"煩悩"そのもの、そして遙か遠い宇宙からこの太陽系までを座標とした人類史的スパンでの、その"業"の炎の因果応報劇。そこに、ヒンドゥー教の破壊神シヴァの一瞬にして一つの国を滅ぼすというトリシュラーやゼウスが古い人類を滅ぼすために起こした大洪水等の神々の意志と神話的エピソードが、SF的意匠のもとに、基軸に据えられる。要するに、嘗て人類を創出した異星人達が、今度は地球の人類の殲滅を謀ろうとしたという逆説。
 《エイリアン》の宇宙における孤独な人間とは随分と趣きを異にした、嘗てプロメテウス神や人間ヘラクレスが神々と戦ったように、宇宙的神話=神と人間達との戦いという神話的再構築ともいえる些か哲学的な趣きすら含んだ正にミレニアム的感興に富んだ作品とまで言ってしまうと随分と褒め過ぎではあろう。

Prometheus3


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