《 朋友 》旧館~《 旧大連航路上屋 》

( すっかり小綺麗になってしまった萬龍 )
新年ってことで、もう廃港の趣きの【国際港】門司港へ行ってみた。
案の定、プレハブ・カスタムの前にはぺんぺん草が伸び、冷たい海風にわびしくなびいていた。ガラス・ドアから中を確かめてみると薄暗くガラーンとして人っ気の一片だに窺えない。対岸の下関側の岸壁には何時来ても釜山か青島からの白い大型フェリーの姿がくっきり望めているのと対称的。【国際港】門司港の定期航路線は廃されて既に久しいが、それでも稀に、大型旅客船が停泊することもあるという。大型過ぎてか、二隻のタグ・ボートが引っ張り、旅客船の横っ腹の二カ所を押しながら接岸させるらしい。
そのカスタムの、道路を隔てた斜め前に、《 旧大連航路上屋 》なる看板のまだ工事中だけど嘗ての横にだだっ広い税関跡の建物をリニューアルした"箱物"が立てられている。外装は完成し、後は内装と前の舗道の工事ぐらい。今春ぐらいにはオープンするのだろうが、今までの実績からして"横並び"がせいぜい。税金使ってんだろうから、せめて、観光バスに乗ってやってくる客達に"詐欺"呼ばわりされないぐらいのモノは作って欲しいものだ。

( 倒壊寸前の"朋友"旧館 )
藤原新也指定中華餐館《 萬龍 》はいつもの佇まいで健在。
もう一つの気になっていた中華麺館《 朋友 》、大分前に移った先で頑張っているけど、肝心の表通りの角の、青錆の吹き出た昭和のくすんだ佇まいの旧館は、もう荒れるに任せた感じで、殆ど倒壊寸前。建物には倒壊予防なのか青いネットが張り巡らされ、【通行注意】の看板まで立っている。路地側にも路面に注意書きが施され、下手すると今年中には倒壊してしまいそう。もう朋友の手から離れている感じだけど、一体どうなるのやら。行政側が「レトロな町作り」の一環としての再建なんてやりそうもなく、そもそもが自民党半世紀支配の賜物="慢性不況"故に、所詮自民党の補完物でしかない民主党政権ごときが押し留めべくもなく、すっかりこの町ひいてはこの国の実貌を明かして余りある惨澹。

その門司港より遙かに繁華な隣町に赴くと、ちょっと入った道路沿いにあるゴミ捨場に、ふと見慣れないモノを発見。一種の既視感と違和感の綯い交ぜになった不可解さに、「あれれ・・・」と思わず立ち止まってしまった。普通に見慣れたゴミ出しにおける注意書の上に明らかに別種の見慣れないモノが掲示されていたのだ。
「星期・・・」あれ、これってひょっとして中国語の曜日を現す「星期」(シンチー)?
見ると他の文章も皆簡体字(人民中国的漢字)ではないか。
「指定のゴミ袋の中に入れて収集日にお願いします」
大都市(日本には東京と大阪しかないが)じゃもう当たり前なのかも知れないけど、地方都市じゃあ珍しい。それともぼくが気がつかなかっただけ?
この辺りは中国は山東省(青島・煙台・済南など)からの留学・修学生が多いらしく、あっちこっちで働いているようだ。今じゃ(日本中)ファースト・フード店じゃ当たり前。尤も、マクドナルドみたいなとこじゃ、こき使われた割にゃ安い賃金なんで、幾ら頑張っても到底彼等の望むような額に至れまい。それでも、慣れないと大変そうなマックのカウンターの向こうで、浮かべる微笑すら些か強ばって、今ひとつ覚束ない日本語での注文取りをしている小姐(むすめ)たちを見るにつけ、彼女たちの先が思いやられてしまう。何しろ、皆、一人っ子政策で大事に育てられていて、嘗ての華僑なんかのしたたかな強靱さや柔軟さなんて望むべくもないのではないだろうから。老婆心に過ぎないのかも知れないが。仕事終わると店のテーブルに一緒に坐ってセット・メニューをパクつきながら、携帯の画面に没頭するばかりの小姐たちではあった。
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