恋の巡礼旅 チェンナイ・エキスプレス
シャールーク・カーンの最新作って何なんだろう。
インド映画( ボリウッド )にこのところ疎遠になってて、稀にネットでミュージック・ビデオを観るぐらい。それでも、ようやくインド映画もコンスタントにビデオ屋の棚にごく僅かだけど並ぶようになって、この二年前のシャールーク・カーン&ディーピカ・パドゥコーンの《 チェンナイ・エキスプレス 》を観ることが出来た。2007年の大ヒット作《 オム・シャンティ・オム 》で共演して以来久々のコンビ作らしい。昨秋の大ヒット作《 ハッピー・ニュー・イヤー 》でも共演してるようだ。

ディーピカはモデル出身だけあってスラリとした長身が魅力。ボリウッド界隈って、皆代々映画関係ってのが多い血筋で成り立ってる観があるけど、ディーピカは全く無縁で、むしろバドミントンでならした家系らしい。妹はゴルファーという。
シャールークの方は早くから両親を亡くし、記憶違いでなければ確かパキスタンのペシャワールに実家があったはず。彼はイスラム教徒であるにもかかわらず、恋愛結婚の嫁さんはヒンドゥー教徒。イスラム=ヒンドゥーの恋ってドラマチックなインド映画の定番だけど、昨今の血腥い事件などみると分かるように、実際には少々じゃないくらい大変だったに違いない。年はじめのフランスでの事件、彼も心痛したろう。

この映画、見始めて驚いたのは、シャールークの代表作ともいえる《 DDLJ 》のパロディーそのもの。物語自体は、あっちこっちに支店をもつ人気インド菓子=スウィーツ屋を切り盛りしてきたシャールーク、慕っていた祖父の遺灰の半分を、祖母が聖地ガンジス川に撒き、もう半分を南インドの聖地ラーメシュワラムの海に撒くように祖母に頼まれる。脇目もふらずスウィーツ造り一筋に半生を捧げてきて気付けば四十歳になっていたシャールーク、この機会に一度見聞を拡げるため旅に出たいと祖母に訴える。祖母は優しく送り出してくれるが、その実、店の同世代の男たちとしめしあわせて、ラーメシュワラムとは反対方向の西海岸ゴアに赴き羽目をはずそうと企んでいた。が、南インドの最大の都市チェンナイ行きの列車《 チェンナイ・エキスプレス 》に乗ったことから、事態は予想を大きく外れ、想像だにしなかった展開となってゆく。

列車がホームを走り出すと、その列車に乗ろうと一人の娘ディーピカ・パドゥコーンが懸命に走ってくる。彼は列車の乗降口から手を伸ばし、彼女を引き揚げてやる。これは、《 DDLJ 》の有名なシーン以外の何ものでもない。撮り方もそれ。只、その後も次から次へと走ってくる男たちを同様に助けあげてやるってところがコミカル・パロディー。その男たち皆一様に凶相の大男で、実は逃げてきたその娘の父親=ボスの命令でその娘を連れ戻しにやってきていたのだった。その辺の事情を、子分たちがヒンディー語を分からないのを逆手にとって、娘がシャールークと《 DDLJ 》のテーマ曲にのせて唄い合うシーンもあって、笑わせる。子分に刀や拳銃をつきつけられ善良なスウィーツ屋シヤールークは恐怖におののきながらも、結局、その娘=ボスの屋敷に連れて行かれる羽目に。
勿論後の展開も相似。
只、チェンナイといえば、南の“ スーパー・スター ”ラジーニカント、彼に敬意を表してか、《 ムトゥ 》でのコミカル・シーンのパロディーや、最後に様々なラジーニカントの図像を背景に使った“ ルンギ・ダンス ”のダンス・シーンも挿入されている。このダンス・シーンは気に入っているけど、他は端折って総じておざなりの感が強い。それでも最後まで観てしまったが。

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