門司港のグリスターン ? グリシェン・カフェ

今日も曇空の下、それでも防寒着の類は必要なくなったのもあって、門司港リアル・レトロの象徴《 萬龍 》の後裔らしい《 龍 》はどうなったのか確かめに訪れてみると、派手な花環が店前に飾ってあった。
丁度昼時、曇った窓ガラス越しに中を遠目に窺うと、いかにも食べ終わったといわんばかりの口元の客が一人出てきた。見ると玄関脇に[ 営業中 ]の表示。既に早めの昼食を済ませてたので中には入らず、元の《 萬龍 》の方に廻ってみると、昭和風レトロの建物はそのまま、ショウ・ウィンドーの奥に色褪せたメニュー・サンプルがひっそりと並んでいるだけ。ここもやがて《 朋友 》と同じ取り壊しの命運となるのだろう。只、場所柄、駐車場になり落ちるってことはないと思うのだけど・・・

と、以前この同じ《 萬龍 》の並びに、十字路を一つ越えて繁華街の方に戻る途中にカラフルに塗り立てたカフェが近日オープンのような看板を出していたのを思い出し、目と鼻の先のその古民家を強調していたカフェに脚を伸ばすことにした。
コバルト・ブルーの壁にストロベリーかローズ・マーダーの赤いドア、その横壁にいかにも油絵風に塗りたくった看板が掛かっていて、《 古民家チャイハナ グリシェン・カフェ 》とあった。
入ると、正に古民家改造の流行の仕様。
板張床に白壁のやや低めの天井のフロアーは、入口周辺にあれこれ生花も配して、些か凝った造り。正にグリスターン花園って訳なのか。
中に入ってすぐ気づいたのが、白壁に掲げられた幾点もの飾り気のない額に張られた同じ作者が描いたのであろう油絵。中央アジアを舞台に描いた、しかし、どこかで観た覚えのある作風・・・ためつがめつ傍に近寄って眺めると、隅に“ 大策 ”とあった。何と、甲斐大策のオリジナルだった。
マジ !!
現れたぞろりとした長衣の女性に確かめると、果たして甲斐大策のであった。
どころか、数日前にこの店にやって来たという。
表に飾ってある《 グリシェン・カフェ 》の看板も彼がわざわざ描いてくれたものらしい。但し、外のはコピーで、入口脇に飾ってあるのがオリジナル。一度観てみたかった甲斐の油絵を珈琲を啜りながら間近で鑑賞できるとは思いもしなかった。

( トイレの中に飾った甲斐大策の男女像 。ひょっとして結婚式?)
季節によって展示する絵も替えるという。
甲斐の絵に関しては殆ど無知なので朗報・・・何よりも気軽に珈琲でも飲みながら観れるってのが好い。トイレに向かう狭い廊下の壁にも彼の写真なんかが貼り巡らされ、驚いたことにトイレの中まで、彼の小品が一点飾ってあった。
基本、椅子とテーブルだけど、一カ所だけ、カーペット敷きのフロアーにアフガン製らしいパキスタンなんかでは滅多にお目にかかれなかった豪華な背もたれの附いた低い脚のチャールパイが何脚か置かれた一角もある。気分はすっかりアフガン・中央アジア。

( 左側の一目で分かるカラフルな意匠のチャイハナ。まっすぐ行くと、左側に《 萬龍 》が静かに佇み、突き当たりには嘗ての社用族御用達料亭《 三宜楼 》が聳えている。)
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