大正末的青春的焦躁 シュトルム・ウント・ドランクッ
端的にいえば、以前、詩人・秋山清と同郷・隣人且つ縁戚のアナキズム運動家・詩人として紹介した中浜鉄=ギロチン社の同志・仲間たちの、大正末的青春群像劇。
捜せばそれなりにあるのだろうけれど、この明治・大正の頃の自由主義的・社会主義的な運動家たちの世界を扱った映画って、ぼくは吉田喜重・監督作品《 エロス+虐殺 》( 1970年 )ぐらいしか観たことがない。他にも二、三あるらしいけど。
《 エロス+虐殺 》は、タイトル通り、明治末の冬の時代から関東大震災までの束の間の大正デモクラシーといわれた時代におけるエロス・タナトス的展開ってところで、どちらかといえばシリアスな作りだったのに比して、如何にも風の舞台装置とステレオ・タイプな軽いノリって作風で、これはしかし、震災のドサクサに虐殺された朝鮮人・中国人・社会主義者、なかんずく中浜鉄が敬愛していたアナーキスト・大杉栄とその妻伊藤野枝、たまたま居合わせた甥の五歳の少年・橘宗一の報復を目しての一連の彼らの行動が、何とも稚拙きわまりない結果となってしまっていたお粗末さ故に、シリアスに作ろうとすればするほど、滑稽じみてきかねない。それ故の、ユーモラス(ぼく的には全然ユーモラスに感じられなかった)な軽調的展開って訳だったのだろうか。
ギロチン社の青年たちって、余りに牧歌的。
それもまた良し、というますます加速してゆく閉塞的時代の只中で、性急さばかりが一人歩きしていった孤立無援な諦念にも似たニヒリズム。
それにしても、大杉たちを殺害した甘粕大尉を演じていた老爺が、あがた魚夫だったとは・・・
《 シュトルム・ウント・ドランクッ 》2015年作品
監督・山田勇男
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