博多の劇場霊だったら面白かったかも知れない / 劇場霊( 中田秀夫・作品 )
二年前の前田敦子主演の 《 クロユリ団地 》に続く、“ 中田秀夫・監督 & AKB48 ”ホラー映画。前回の 《 クロユリ団地 》は興行的には悪くはなかったようだが、今回の島崎遥香(ぱるる)主演作はどうなんだろう。かなり宣伝してたようだけど。
日曜朝の回で観てみた。
朝なので客はほとんど入ってなかった。昼から入ってくるのだろうが、何しろホラー映画なので疎らな客席ってのが恐怖度を高める(はず)。
劇場の霊っていえば、AKBグループじゃ、博多のHKTに指原莉乃が移った頃、博多のHKT劇場に女の霊が出没するって若いメンバーたちが震えあがってたのは有名だったけど、実はすっぴんの指原だったという。
菅原道真が太宰府=博多なる辺境に左遷されたことを怨んで、日毎、天皇のところへ生霊となって現れ悩ませたのは知ってるけど、幾ら猫背にボサボサ髪とはいえ普通に劇場へ通ってるだけで霊現象として周囲を怯えさせるとは、さすが平成の道真=指原莉乃。
むしろこの逸話にあやかって、舞台を博多の劇場にすれば、もっと違ったウィットに富んだレアなホラーってことにもなったかも知れない。もちろん主演はぱるる、劇場霊は指原。
映画は、のっけから劇中劇って奴で、個人的には、これは嫌いなパターン。ともかく白けてしまう。
島崎は死体役の、まだうだつの上がらぬ端役専門の事務所五年生って設定。
そこで、事務所で提示された演劇作品、猟奇的な皇后エリザベート物語のオーディションを受けることに。主役のエリザベート役を勝ち取った事務所の売れっ娘がビルの屋上から転落死してその代役が転がり込んでくる。実は劇の中で使われる人形に殺害されてしまったのだった。やがてその魔手は島崎や他の出演者・スタッフたちにも及ぶようになって・・・幾らホラー映画だからってストーリー&展開が余りに凡庸過ぎ。これじや、ぱるる=島崎遥香の魅力、半分も出せてないのじゃなかろうか。
“ちょーだい、ちょーだい”と、すり寄ってくる等身大の人形の恐怖。
映画館の大きなスクリーンと暗がり、そして巧みな音響効果でそれなりのホラーらしさは何とか醸し出せていたのかも知れないけど、ビデオじゃちょっと難しい。前回の《 クロユリ団地 》ともども基本“和製ホラー”。
“塩対応”で高名な島崎遥香が、“SUGAR”のロゴのはいったTシャツを纏ったシーンもあったけど、怖くないおざなりな幽霊物語って域を一歩も出るものじゃなかった。
ハリウッド帰りの監督・中田秀夫の最新作+島崎遥香ってことで、些かの期待を抱き、基本、“和製ホラーはビデオで”、という自らのセオリーの禁を破ってまで観に行った結果は、案の定・・・。
むしろ、テレビの深夜番組として作るべきだったろう。半睡の入眠幻想にゆらめく意識と感覚で観るのも、又、一興。
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