エイリアン : コヴェナント( 聖約 ) 一つの存在論的な巨大な実験( =フラスコ )としての人類創生、それとも技術論的な開発としての人類繁殖?
。
前作の《 プロメテウス 》(2012年)が、この《 エイリアン 》シリーズの新たな、それも本源的展開だったということで、今回、それなりに期待はしていたのが、スルリとかわされてしまった。
製作者側の企図としては、今回の《 エイリアン : コヴェナント 》は、前回の《 プロメテウス 》の続編だけど、次回作《 エイリアン : アウェイクニング 》こそが、《 プロメテウス 》の直後にくる続編ってことで、今回のはその《 エイリアン : アウェイクニング 》の後に続く三つ目の物語らしい。
そんなややこしい作りにしたためか、この《 エイリアン : コヴェナント 》、些か説明的に過ぎ、《 プロメテウス 》の未知の異世界を一歩一歩踏みしめてゆくスリリングさも薄れ、如何なる都合・技術的な問題があっての末の一つ飛ばし、あるいは結末の先取りか知らないけど、蠱惑的な謎というより思わせぶりな中途半端な代物に堕してしまった。続編を前提とした作品が往々にして陥る陥穽。
そもそもが、前作《 プロメテウス 》が、オリジナルの《 エイリアン 》(1979年)の前日譚として作られたもので、オリジナルの《 エイリアン 》の宇宙輸送船ノストロモ号が鉱物資源を積んで地球への帰途の途中、知的生命体らしき信号を発している小惑星へ会社命令による進路変更したことによる未知との遭遇=エイリアン禍に見舞われたのが西暦2122年、惑星探査船プロメテウス号が種の起源を解き明かす鍵となる惑星LV-223に降り立ったのが西暦2093年。
つまりリプリー達が降り立った惑星LV-426で不気味に佇む巨大な宇宙船と化石化した異星人の姿に遭遇した年から29年も前に、既に同じ企業のプロメテウス号が別の惑星で異星人とその宇宙船、エイリアンとの遭遇を経験しその情報を得ていたということ。
そして、今回の《 エイリアン : コヴェナント 》では、植民船コヴェナントが2,000人の入植者を目指す惑星オリガエ6に運んでゆく途中、ニュートリノの衝撃波を受けて故障し右往左往している最中、近くの、とある太陽系の第4惑星から知的生命体らしき信号が発信されているのを確認し、地球に近い環境故にとりあえずの探査が行われるのが、前回のプロメテウス号から11年後の2104年。
そして、次回作、《 エイリアン : アウェイクニング 》が、その11年間の間の何処かって訳で、これだけ見ても何とも煩雑でややこしい。

オリジナルのエイリアン・シリーズの頃は、普通にSFホラー・スリラー映画ってとこだったのが、《 プロメテウス 》以降の新シリーズじゃ、人類の起源はじめ本源的なアプローチに西洋的神学を加味し、中々興味深い設定で、とりわけ今回は神学的ニュアンスが強くなっていよいよ面白くなってくるはずだったんだけど・・・。
《 プロメテウス 》で、人類を作った異星人( =エンジニアとこの映画では呼ばれている )が、あたかもノアの大洪水での人類絶滅やソドムとゴモラを殲滅した神ヤハウェの如く、惑星LV-223から人類=地球の殲滅・破壊を企図していたのを、今回の《 エイリアン : コヴェナント 》では、彼等エンジニアの遺棄宇宙船に乗って、彼等の居住する惑星に赴き、上空から彼等エンジニア達が作った生物兵器をぶち撒いて住民たちを最後の一人まで殲滅し尽くしてしまったエピソードを、両作品に登場するアンドロイドのデヴィッドが回想するシーンがある。
それが、かつて古代の死の都と化したソドムとゴモラもこうだったかと想わせる彼等が降り立ったその第四惑星の黒々と石化した無数の人型の遺物の意味だったという訳だけど、その辺の詳細が、次回作《 エイリアン : アウェイクニング 》で明かされるという流れなんだろう。
そもそも何ゆえに、人類を作ったはずの異星人エンジニア達が、人類を絶滅することを選んだのだろうか。
それは、前作《 プロメテウス 》の最後の方で、主人公の考古学者エリザベスの問、地球への帰還を拒絶し彼等エンジニア達の母星に進路をとった際に、アンドロイドのデヴィッドに零したセリフでもあった。てっきり、今作でその謎解きがなされるものと決めつけていたら、完全に肩透かしを喰らってしまったのだけど、この“何故に”( 人類殲滅 )ってのは、はっきり言って為にする類で、昨今の人間達の行状からして幾らでも推測がつく代物。
要は、それが神=万能の唯一神であってようやく、何故に万能のはずの絶対神がそんな齟齬・矛盾の極みの破綻を来たす挙に出てしまったのか? という疑義も呈されるけど、それが異星人・宇宙人ならば、多少の程度の差こそあれ、所詮横並びの同じ生物ってことで、単なる試行錯誤的な恣意性を出るものじゃないという了解性の上での、デヴィッドの報復(?)あるいは人類絶滅の阻止としての先制攻撃だったのだろう。只、実際のところは、次作を待つ他はない。そう単純に推測されるような作りにはしない監督リドリー・スコットってところなんだろうから

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