アンドロイドは叛乱する? ブレード・ランナー2049

映画自体は35年ぶりの続編で、映画の世界じゃ30年後の西暦2049年のロサンジェルスの街って設定なんだけど、海外での商業的評判が今一つ芳しくないって風評、予告編の凡庸さ、更に同じリドリー・スコットの《 エイリアン・コヴェナント 》も今一つだったのもあって、こりゃ余り期待できないのかものモヤモヤをひきずりながら、平日の人影も疎らな回を観てみた。只、平日の割にゃ、珍しく( 恐らく )週末の封切り日と同じだろう箱(劇場)で、十分に映像的・音響的迫力が効いていたのは幸いで、やっぱりスペクタクルものは広い箱じゃないと意味がないなと今更のように思い知らされた。
結局、《 ブレード・ランナー 》って、近未来世界ってとこでのロスの街のイマジネーティヴな世界の創出ってことに尽きる。そこであってこそ、そんなに遠くない将来の象徴たるロボットより一歩先のアンドロイド(=人造人間 : 映画中での製品名はレプリカント)も活きてくる。1982年に公開されたオリジナル《 ブレード・ランナー 》は、正にそこにおいて世界の耳目を集めたんだけど、果たして、広めの劇場で観ることができたのも幸いしてか、オリジナルを凌駕するようなイマジネイティヴ=クリエーティヴな未来世界構築は見られなかったものの、オリジナルと違和を感じさせない程度の敷衍的光景は悪くはなかった。
映画の中じゃ30年の月日が過っていて、オリジナルだと街中の巨大なオーロラビジョンに“強力わかもと”を手にした日本髪の女の微笑みが印象的だったの比べ、今回のは主人公に語りかける小さなビルなら跨ぎかねないくらい巨大な全裸のジョイという娘のホログラム的姿態が立体的+エロスってところで進化したのだろう。
あるいは、老デッカードの隠れていたラスヴェガスの古い建物の中に備わった、遙か以前の遺物として設定されたステージ上のプレスリーやジューク・ボックスの中で歌うシナトラのホログラムともども、近未来性を際立たせるための小道具としては面白い。

オリジナルじゃ、宇宙植民地から逃げてきたレプリカント叛乱組織の圧倒的な強さをみせるリーダー、ルトガー・ハウアー扮するロイ・バッティと、逃亡レプリカントを抹殺するロス市警の捜査官リック・デッカード(ハリソン・フォード)との死闘と寿命間近かな人間的な生を求め延命を獲ようと足掻くレプリカント達が漂わせる悲哀が、ヴァンゲリスの奏でるシンセサイダーに増幅され中々に味わい深かかったけど、今回の《 ブレード・ランナー 2049 》じゃ、同じくロス市警の捜査官K(ライアン・ゴズリング)が、自身の記憶に埋め込まれた子供の頃の断片的記憶を機縁にして、ラスベガスの旧い館に隠れているデッカードと精密なレプリカントだったレイチェルとの間に出来た、ひょっとして実の息子かも知れないと想い込む様になってゆくのだけど、遂には、あくまで権力を欺くためのデッカードや叛乱レプリカント達の手の込んだ攪乱策だったことかが明らかになる。こっちは、情緒たっぷりって風情じゃなく、Kの勘違いが独り歩きしてゆく様がもう一つしっくりこないまま展開してゆく。後半になって唐突に現れた叛乱レプリカントの存在が余りに宙ぶらりんなまま、Kのバッティと同様の寿命切れで静かに終焉してしまう態は、いかにも次作を匂わせる。
ひょっとして、オリジナルの《 ブレード・ランナー 》世界が仮構された来る2019年に、続編が発表がされるのだろうか。
それにしても、リドリー・スコット、《 エイリアン 》ともども、アンドロイドに随分と執着している。
"技術の独り歩き"ってすぐれて今日的な命題とともに、人間的な、あまりに人間的なアンドロイドたちの人間の業にも似た転輪し続ける炎によって、逆に人間達の真相をあぶり出すって寸法なのだろう。
《 ブレード・ランナー 2049 》(2017年)
制作 リドリー・スコット 監督 ドゥニ・ビルヌーブ (米国)

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