平成末的門司港残影

ちょっと前、門司港レトロ・エリアでこの街の如何にもローカルな港祭なんかが催されていた頃、友好姉妹都市・大連の旧ロシアの東清鉄道事務所の洋館を復元した国際友好図書館に行き、二階の図書館に向かう階段を登ろうとすると、階段の前に貼紙があり、読んでみたら何と三月いっぱいで“廃館”とあった。
尤も、図書館だけが廃されるだけで、後日観光施設としてリニューアルという。
中国・韓国なんかの東アジアの蔵書、満州関係のかなりの資料もごっそり何処かへ移されたのであろう。一キロぐらい離れた場所にある雑書館とも謂うべきチャチな図書館の倉庫に移すには余りにも膨大・・・はちょっとオーバーかも知れないが、それでも明らかに多過ぎて、同じくらいの図書館がもう一ついるぐらいの量ではある。
恐らく、以前幾度か訪れてみたことのある隣町の図体ばかりデカい図書館の方に大半が移されたのだろうが、まず宝の持ち腐れってところだろうか。
例えば、十五巻ぐらいの分厚い中国語の辞典、勿論中国の辞典だからすべて中国語だけど、最近こそさっぱり音沙汰になってしまったものの以前は色々と重宝させて貰った。調べ物でなくても読んでるだけで勉強になるくらいの有難い代物で、一体、その他の大きな都市の大図書館でも備わってないだろうその大辞書は何処へ隠されてしまったのか。 その隣町の大きな図書館の薄暗い倉庫の奥に黄ばみ朽ちるまで半永久の眠りにつかされてしまうんじゃあるまいか・・・等と、何ともうら寂しい想いに捕らわれてしまった。

文化じゃ金にならないってとこなんだろうか。
この国際友好図書館、そもそもが図書館と銘打っていたものの、図書室の照明は薄暗く、テーブル上の卓上蛍光灯を傍に寄せてもまだ照度不足なくらいの、本当にまともに利用者に本を読ませようという気なんてあったかどうか甚だ怪しい代物ではあった。レトロな建物が欲しくて、図書館を口実にしたってところじゃなかったろうか。メインはレトロな建物って訳で、書籍は飾り。それでも、観光コースと思った観光客たちがゾロゾロと入って来てはチラリと一瞥し出てゆくのを尻目に、ごく少数の利用者が疎らには散見されはしたけれど。
どころか、あれだけ何度も出来ては消えを繰り返してきた、韓国五千万=ニッポン一億総ベンチャー時代の象徴たる日韓国際フェリーの発着所=玄関前に雑草も伸び庇も朽ち始めてた国際旅客港のカスタム事務所の玄関にも一枚の張紙が貼ってあった。
何と、裁判所の公示書。
地元の債務企業が勝手にその元のカスタム事務所の設置物や地権を移動させてはならぬという通達らしいけど、一体全体如何なる経緯でそんな訳の分からぬ仕儀に至ってしまったのか。ここの自治体か第三セクターか知らないけど・・・この国際図書館も国際旅客ターミナルも平成的産物で、正にニッポン末期資本主義的アベノミクス的凋落の好個の例として海峡史に刻印されるべきもの。
思い起こせば、明治維新直後の長州及びその走狗と化し利権を漁ろうとした既存の元の小倉藩庄屋(小倉藩じゃ、手長と呼ぶ)たちに困窮・呻吟した農民たちが蜂起した企救郡一揆の際の小倉藩領地を支配していた長州側のトップが誰あろう、安倍の先祖・佐藤寛作だったという因縁つき。
そういえば、対岸の下関と向かい合った海岸沿いの古戦場ともいうべき小山の端に立っていた国民宿舎跡に何か立つはずだったのが、その業者が暴力団がらみだったとかいう事で宙に浮いたまま、いつの間にやら、トロピカル列島化した現在には一等不向きなコンクリ床の露天展望台ってところに落ち着いてしまっていた。確かに、役人たちのやる事だろう。

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