火星反転夜話

火星が地球に大接近って騒いでいたのはちょっと前だけど、現在でもまだ夜半南東にオレンジ色に輝いている。そもそも太陽系の惑星なので肉眼でもはっきり見えて当然といえば当然だけど、幾ら大接近したからといって、肉眼でくっきりとその球形が見える訳でもいわんや斑点の模様までが視認できるわけじゃない。当方の二十倍の双眼鏡ですら、かすかに微細なオレンジ色の球体として見えるだけ。所詮、ちゃんとした天体望遠鏡でなんぼのマニアの世界に過ぎない。
むしろ、昨今の、一億総ベンチャー時代の象徴のような成金男をはじめ、内外でいよいよ喧しくなってきた、かつてのすわっ! 新大陸だ、蝦夷だ、満州だと略奪と破壊、搾取の十字軍宜しくの“ 火星開発ラッシュ ”の方が、よっぽどうっとうしく気にかかる。結局、あの長い間の西部開拓史物語の隆盛と消滅の軌跡って教科書的題目に過ぎず、すべてが換金的対象物=商品という資本主義的構造から一歩も出ない、やっぱし一切を貪らねば止むこともない中世十字軍的進軍の真っただ中ってとこなんだろうか。
そんな成金の星・トランプ大統領が“ 二酸化炭素が地球温暖化の原因じゃない ! ”とぶちあげてからか、地軸の傾きにその原因があるという説がネットを賑わしているようだ。“ 北極点が欧州方向に急移動 ”から“ 北極がシベリア方面に移動 ”とか、地磁気の減衰、果ては“ ポール・シフト”等の警句が乱立し、事態は一層暗澹の色を濃くしている。ポール・シフトって、北極と南極が入れ替わるって正に地球的規模の大異変なんだけど、過去360万年の間に11回も既に起きているという。現地球じゃ、いつ起きても不思議じゃないらしく、勿論起きれば壊滅的な事態が我々を待っているようだ。
そういえば、幾年も前、北極圏で9発だったかの水爆を、米国が一斉に地下爆発させたという話がネットで束の間流れたことがあったけど、あれは・・・。
かつて火星も地磁気が減衰し、太陽風に大気を根こそぎにされて現在のような(一見)死の星の様相を呈することになったという。我々はそんな火星を見上げ、赤々とした輝きの中に一体何を見ようとするのだろう。
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