«  旅先のカフェ  オールド・チャイナ・カフェ ( マラッカ ) | トップページ |  大泉黒石 仮構的燦爛世界 »

2019年2月16日 (土)

紅蜆 タイの困惑的商標

Thai_3

 


 過日のバックパッカーを決め込んでいた頃に集めたというか、捨てずに後々の資料として貯めこんでいた茶封筒群の一つをまさぐっていると、かつてバンコクの外人御用達カオサンでだろう、当時流行りの、あるいはアフガン行を企み、ひょっとして有用性を発揮するかも知れないと格安で作った“ ジャーナリスト”の身分証がポロリと出て来て、そこに刻印されたもっともらしい登録ナンバーに思わず苦笑してしまった。
 その脇に、もう一枚、些か丈夫そうな幾重にも折りたたんだ跡のある薄い紙片があった。取り出してみると、バンコクで買った鉄観音茶のパッケージ(包み紙)だった。
 如何にも風のタイと中国のドッキングした所謂“華人”世界的産物。
 そのデザインとキィッチュ風味が気に入って敢えてとっておいた奴だった。
 “弐級”(二級)とあるように、庶民御用達って訳でか、箱じゃなく、直接この包装紙で包んでいたと決めつけていたけど、きっちりした折り目からして、たとえ茶葉をビニールで四角く包んだ上での包装紙としても、果たしてそんなにきっちりと折り目がつくものなのかと疑念を抱くと、忽ちにしてあやふやになってきた。
 あれれ・・・二十年近い歳月の向こうの些細な有様は、ネットでちょっと確かめようとしてもまるで浦島太郎。で、如何なる様式のパッケージだったのか不明なまま、それでも何とも味のあるデザインと風趣に一点の陰りもない。
 

Thai_1

 当時は、何気なくそのまま美味しく頂いただけだったのだろうが、今、まじまじとそのパッケージを眺めてみると、些か妙なことに気付いた。
 否、華人文化に無知なだけに過ぎないのだけかも知れないけれど、
 “ 弐級 鉄観音 ”はともかく、三枚の赤い貝の図案の上に緑のタイ文字で“ ホーイ・デ―ン”と記され、下には赤文字で“ 紅蜆商標 ”とある。
 “ 蜆 ”、しじみ ?
 蜆って、すくなくとも日本列島じゃ、ふつう小さな三角のすべすべした表面の貝だったはず。このごっつい感じの貝の絵姿とはあきらかに異質。日本と中国じゃ、同じ漢字でも意味が随分と違う場合も少なくはない。
 が、ネットで見てもはっきりしない。
 あげく、日本語の俗説の方の、“赤貝”が女性の性器の隠語なのに対して、“蜆”は少女( 色街では禿 )のそれを現わすなんてのがあったぐらい。まさか、少女の割目を商標にするとは到底考えられないけど、華人の高齢者などが少女に回春的効能を期待しようとする風習があるらしいってのを何処かで聞いたことがあり、それだと処女性=初々しさや清々しさをイメージした商標ってことになるのか・・・ ?
 そんなネット検索中に、ふといつの間にか訳の分からないフレーズの中に分け入っているのに気付いた・・・蝶々の世界だった。
 両羽を拡げても3センチぐらいの小さな“ 紅蜆蝶 ”、日本列島の野山に朱色の姿で飛び回っているらしい。
 これは鉄観音とは、如何にも関係ありそうにない。


Thai_2

 

 と、その時、タイ文字で記された“ デ―ン”が“赤”という意味だったのを思い出した。かつてタイの栄養ドリンクの定番だった“ クラティン・デ―ン ”(=赤いバッファロー)、今じゃ世界的なエナジー・ドリンクとして有名になった“ レッド・ブル ”のデ―ン( =赤 )だ。
 “ ホーイ・デ―ン”だから“ ホーイ ”を調べてみると、果たして、“貝”とあった。
 何のことはない、“赤貝”のことだった。
 赤貝は日本のでも、グローブみたいな放射肋が伸びて絵のようにごっつい。
 このイメージと少女=処女性とはてんでそぐわない。
 華奢な紅蜆蝶とも。  
 “赤貝”は中国じゃ“血蛤(はまぐり)”とも呼ぶらしいし、琵琶湖水系の瀬田蜆は貝殻が鼈(べっ)甲色をしているので、紅蜆とも呼ばれているようだ。  
 いよいよ錯綜迷走し取り止めがなくなってしまったが、少なくとも、“ 紅蜆商標 ”は“ 赤貝商標 ”という了解性だけは得られた。
 
 因みに、装飾円形の中に認められた“ 倶佳香韻 ”は、“ 香りも余韻もともに素晴らしい ”という意味で定型句のようだ。
 この茶葉屋“ 集友茶行両合公司 ”の所在地、“ 泰京 越三飯大聖仏祖畔門 ”って、泰京=バンコクはすぐ分かるものの、それ以下の住所は全く分からない。大聖仏祖畔門って、恐らくチャオプラヤー川畔のどこかの仏教寺院なのだろうけど

|

«  旅先のカフェ  オールド・チャイナ・カフェ ( マラッカ ) | トップページ |  大泉黒石 仮構的燦爛世界 »

旅行・地域」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



«  旅先のカフェ  オールド・チャイナ・カフェ ( マラッカ ) | トップページ |  大泉黒石 仮構的燦爛世界 »