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2019年8月16日 (金)

蒼空に映える白亜の渤海クルーズ『 中華・泰山号 』

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 数日前、レトロ沿岸を散策し、小さな船舶が停泊している以外釣人の影が30℃数度の烈日に照らし出されているだけの岸壁に踵を返そうとした眼の端に、ふと、ドサクサ紛れのごとく、植込みの向こうの廃止になって久しいプレハブ・カスタム玄関の両開きドアがゆっくりと開閉する光景が紛れ込んだ。
 錯覚と決め込もうとしたもののそんなはずもなく、カスタムの玄関に向かってみると、果たして、ちょっと前まで玄関ポーチの低い階段の脇にぺんぺん草が繁茂していたのが嘘みたいに綺麗に刈られていた。あれっと、反射的にポーチの上部を見上げ、以前に消し去られた国際港カスタムの文字を確かめると当然に削り取られたまま・・・
 で、列日の反映で見難くなった入口のガラスドアの奥に眼を凝らすと、やっぱり電灯が点いていて、かつてのカスタムが機能していた時代の取り残された設備だけがぼんやりと照らし出されていた。
 人気もなく設備の点検でもしているのだろうか、と裏側に廻ってみると、細長いカスタムにうがたれた曇りガラスの全部にずらり明かりが灯っていた。

 

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 表側に戻ってようやく気づいたのだが、カスタムの岸壁側の小さな勝手口前に軽自動車が二台停まっていた。数人の男女がその勝手口のドアから出入りしていて、如何にも何か胡散臭げな雰囲気。
 しばらくすると、中から白っぽい大きなものが現れた。
 車の陰になってはっきりしない。
 と、中年女性の後について、まん丸のいわゆる地元の“ゆるキャラ”の着ぐるみがヨタヨタと歩き始めた。真昼の烈日にゆるキャラのまん丸い白い巨体がおぼつかない足取りで岸壁にそってさっさと歩いてゆく女性の後を、どんどんその差が広がってゆきながらも真夏白昼のゆるキャラはヨタヨタと追いかけ続けた。
 と、その先に、一艘の白塗りの練習船が留まっていた。
 カスタム前に来る時、ぞろぞろ見学の親子連れがその小型の練習船にのりこむのを横目にしていたのだけど、もう皆船の中に入っていたようで、女性と白日を照り返して眩いゆるキャラの二人がタラップの下で二人並び、中々出てこようとしない見学客をじっと待ち続けているのを見てると、二人の熱気がこちらに伝染してきたかのように汗が吹き出てきて、あわてて日陰に退避しその場を後にした。

 

 

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 家に戻ると、いくら何でもあんなゆるキャラ出陣のためにわざわざ廃止になったはずのカスタムの全部に灯りを点すとは考えられないので、ひょっとしてとネットをみてみると、案の定、中国の船舶が寄港する予定なのが分かった。

 

 で、10日( 土曜 )に岸壁に赴くと、24,427トン、乗客約1000人の渤海郵輪有限公司のクルーズ船《 チャイニーズ・タイシャン 》中華泰山号の白亜の船体が蒼空の下純白に映えていた。
 カスタム岸壁の手前に留まっていた練習船の姿はもうなく、カスタムの白塗りの鉄柵を越えて手前にはみ出した泰山号の、しかし、10万トン級も珍しくない昨今の大型クルーズ船世界じゃ、むしろ小型の部類に入るのだろうか。
 以前寄港したフランスのポナンPONANT社のロストラルL'AUSTRL号が1万トン級なのでその倍、5万トン・クラスの飛鳥Ⅱの半分。
 尤も、乗客は時節柄なのか、数百人くらいだったようだけど、見に行ったのが昼前で、乗客の大半はもう下船しあっちこっちに出かけた後だったのだろう。カスタム事務所の玄関から、疎らに大抵二人組の黒髪をなびかせた中国人娘が連れ立って何処か散策に向かうぐらい。周辺は閑散としてて、一般道路に出る手前に警備のパトカーが一台停まってて、裏側に観光バスが一台、カスタムのすぐ背後に“Moji Custams”と記したトラックが一台停まってるだけの静かな光景があるばかり。
 結局、このクルーズ船《 中華・泰山号 》寄港のための雑草刈りだったようだ。
 白い船体にカラフルな中国風の絵が小さくあしらわれていて、唯一中国情緒を感じさせる。折からの台風の影響でか、カスタムの鉄柵から手前にはみ出た部分の岸壁側に立入禁止のグリーンの衝立をづらり立て並べていたのが、次から次へと倒れてしまい、慌てて係り員たちが駆寄って来て立て直していた。

 

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門司港を出ると、佐世保に寄り、大連港に戻っていった。
 本当は大連を発ったこの《 中華・泰山号 》、今日15日にも再び寄港する予定であったらしいのが、台風10号のせいで中止になったらしい。15日昼前現在、船舶動静情報(AIS)でチェックすると、台風をやり過ごそうとしているのか、大連港のちょっと沖で停泊したまま。

 

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