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2019年11月 2日 (土)

ジャイサルメールの酔華 《 旅先の一枚 》5

Bhangshop-s

 

  インドはラジャスターン砂漠で最も古い城の一つがあるので有名な町ジャイサルメール。
 お決まりのニューデリー→プシュカル→ジョードプル→ジャイサルメールのラジャスターン沙漠定番コース。魅惑的なプシュカルには10日くらい泊まったが、大きな砦フォートとやたら大きな角の牛たちだけしか印象的なものがなかったジョードプルにはたった半日。つまり一泊もせず、夜行列車でラジャスターン沙漠の代名詞的なジャイサルメールへ。
 ここの中心的存在がシタデルと呼ばれる黄土色の城砦。
 プシュカルよりも一回り大きなくらいのこじんまりとした町で、シタデルの中にはジャイナ教寺院や民家・ホテルなんかが立ち並んでいる正に城塞都市。そこから360度の展望が開けていて、一歩町の外に出ると、もうそこはパキスタンにまで至るラジャスターン沙漠。有名な観光地でもあるので外人客も多く、ラクダの背に乗って何日かラジャスターン沙漠を巡るアラビヤン・ナイトのツアーまで備わっていた。尤も、沙漠は何処も同じとばかり比較的近くのエリアをグルグル廻ってごまかす悪質ツアーもあるとかで、執拗な宿のスタッフからの誘いもあったものの当方は遠慮させて貰った。
 

 

 そんなシタデルの門前の一角に、“ Government authorized ”を明示した所謂《 バング・ショップ 》があった。
 Bhangとは所謂大麻・マリファナのことで、メニューにもあるようにバング・ラッシーやクッキー等を堂々と販売している。聖地たるバナラシ―にもバング・ラッシー屋はあったけど、同じヒンドゥー教の聖地・プシュカルじゃ如何だったのだろう。それほどに興味がある訳じゃないので、当方が気がつかなかっただけで、ひょっとしてあったのかも知れない。
 このジャイサルメールの店の看板は英語表記で、いかにも外人観光客を標的にしているようにも思えるが、インドって多民族国家で、特定の民族の言葉、つまり一応公的な言語ってことになっているヒンドゥ―語もすらも、押し付けに過ぎないとして、むしろ以前の宗主国・大英帝国の英語を共通言語として使う傾向があるらしく、だから必ずしも英語=外人狙いって訳でもないのだからややこしい。

 

 丁度絵に描いたような風体の白人が店の人間と何やら相談中。
 何しろ“ 政府公認 ”( 尤も単なる手書きに過ぎないけど )の金看板を掲げているので、怪しげって訳じゃない。むしろ、パキスタンはペシャワールの郊外にあるトライバル・テリトリー( 公権力の手が及ばない少数民族自治区 )にある通りに面した一見何の変哲もない小さな店の前でコソコソやっている方が遙かに怪し気で危ない。外から何の店なのか定かじゃないその地味な佇まいの店に一歩入ると奥の棚に堂々と大きな茶褐色の大麻樹脂や、“ヘロイン”の表示のあるものすら並んでいたりする。銃の町ダッラに赴く途中に寄ったに過ぎなかった当方のパッカー・グループは、“ヘロイン”の文字を見ただけで、こりゃヤバイとばかりそそくさとそこを後にしたけど、早速腰に拳銃を吊るした自治警官が目ざとくやってきて「さっさとここから出てゆけ ! 」とやんわりだが警告されてしまった。 

 

 

 ネット見ると微妙に相違があるが、バングって大麻の茎・葉から作られ、花から作られたものをガンジャ、樹脂をチャラス、中東じゃそれをハシシと呼び歴史は古いらしい。
 インドでは元々修行者=サドゥーなんかが修行的一環として使用したり、庶民もホーリーなんかの祭の時に使ったりするようだ。着色された水や粉末をかけ合ったりするホーリー祭の時に、塗料まみれになった参加者たちの動きが、どうもゾンビーの群のような覚束ない足取りに思えて、てっきりアルコールの故だと決めつけていたら、バング・ガンジャの類の故だった可能性も出てきた。
 近年、インド政府も、世界といっても基本欧米先進国の圧力に、国内のそうした伝統的な慣習に色々な制限・規制を設け始めたようなニュースを瞥見するにつけ、前回の《 童子蛋 》同様、その弊害著しいならともかく、そんな話余り聞かないし、むしろタバコの方こそよっぽど有害なのだから、誰憚ることなく堅持して然るべきだろう。

 

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