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2020年4月 8日 (水)

旅先のミュージック・テープ Ⅱ

 

 

Tape10-1

 

《 AYA 》キジョkidjo ( 1994年 )

 

 1998年のバリ、ジョグ・ジャカルタ行の際に折からのインドネシア・ルピア―の暴落によるレート差成金を決め込んで大量に買った中の一本。
 当時はアフリカの歌手なんて一人も知らなかった。
 この前後に、主にバンコクで時折買ったりしたぐらいだけど、いずれも皆アフリカン・ビートともアフリカン・サウンドともいうべき独特のものがあって、それが中々気に入っていた。中東諸国のポップス、とりわけヨーロッパに移住して活躍しているアーチストってやはりその国のサウンドを帯びてしまってるのと同様、このもはや有名アーチストどころか大御所となっているらしいキジョのこの5枚目のアルバムらしい《 AYA 》も、バックに流れているフランス風味の独特のサウンドで、パリで録音したのがすぐ分かってしまう。( 勿論そのフランス独特の、ちょっと古いがシルヴィー・バルタンの曲にも響いていたサウンドが流れていたらの話だけど )

 

 一曲目の“ Agolo ”からして、彼女ののびのびとして声量もある唄声でのアフリカン・サウンド全開ってのが好い。2曲目の“ Adouma ”も同様、のりのり。
 B面の“ idje-idje ”もゆったりとした曲調で悪くない。
 アフリカン・ポップスの場合、バック・コーラスの掛け合いも、伝統的なアフリカン音楽の形式と相俟って、魅力の一つで、哀愁を帯びたこの曲でも、 idje、idje、 idje、idjeとコーラスが唄った後を受けて、キジョが唄う箇所が気に入っている。
 このカセット・テープ、“ Sale in Indonesia only ”と記されていて、インドネシアだけのバージョンって訳だろうか。定価Rp.10000とパッケージの背に記されている。

 

 Youtubeを確かめてみたら、なんと“ Agolo ”や“ Adouma ”のMVがあった。直近の曲のMVじゃ、年相応(1960年生れ)の彼女が貫録すら湛えて唄っている姿も観れた。動乱の西アフリカ・ベナン共和国を出た難民でもある彼女は、フランスに亡命し、後米国に拠点を移したという。

 

Tape10-3

 
 
  
 《 Spirit of the Forest 》Baka Beyond ( 1993年 )


 マーティン・カラディックと妻のハート・スーが、1992年に西アフリカのカメルーンのコンゴとの国境地帯に住むバカ・ピグミーの集落に滞在し一緒に演奏した際に録音したものと、1993年にスタジオ録音したものをミックス処理したものらしい。
 バカ族も伝統的アフリカン文化の粋である音楽好きのようで、見知らぬ英国人夫婦の奏でるギターやマンドリンに興をそそられコラボとなってゆくのが手に取るように分かってしまう。
 マーティン・カラディックはコンウォール出自らしく、コンウォールといえばアーサー王伝説で有名だけど、古のコンウォールの人々は英語じゃなくケルト系の独特の言語を持っていた。
 1547年、没したヘンリー8世の後を継いだたった9歳のエドワード6世とその摂政となった伯父のサマセット公が新教徒で、英国国教会をプロテステント系に改変しようとして「礼拝統一法」を制定したものの、全国的叛乱が生起した。とりわけ、コンウォールじゃ、それまでラテン語の祈祷書を使っていたのが、中央権力がそれを英語のものに強制的に改変してしまって、コンウォールの人々が頑強に拒絶したため、コンウォールの住民たち数千人が殺害されたという。日常的言語としても英語が強制され、次第にどんどんコンウォール語人口が減少していって殆ど絶滅状態という。
 そんな自身の出自を、人口数万人ともいわれるバカ・ピグミーに重ねて観ようとしたのか、中々うまく融合されたものとなっている。
 BAKA BEYONDは、このアルバムの頃はともかく、マーティン・カラディックと妻のハート・スーがバカ族や他の国のアーチストの参加を得てすっかり多人数のバンドとなっているようで、この後も音楽活動を続け、七枚以上のアルバムを出しているとか。
 このアルバムに関する限り、インストルメンタルが主だけど、哀感溢れたバカ族の唄と混然一体となって、正に熱帯雨林の精というところだろう。

 

Tape10-2

 

 

 《 TALKING TIMBUKTU 》
    アリ・ファルカ・トゥール with ライ・クーダー(1994年)

 

Tape10-4

 

 
 米国ミュージシャン=ライ・クーダー プロデュースによる西アフリカの内陸国マリの代表的ミュージシャン=アリ・ファルカ・トゥール( 歌手・ギタリスト )とのコラボ・アルバム。全曲ファルカ・トゥールの作曲で、その翌年のグラミーのワールド・ミュージック・アルバム賞をとっている。
 ライ・クーダ、三年後にはキューバに渡り、有名な『Buena Vista Social Club』の録音にも参加したりしていて、時間が前後するが1980年に沖縄の喜納昌吉&チャンプルーズのアルバム『BLOOD LINE』にも参加していたらしいワールド・ミュージック畑じゃ知る人ぞ知る存在という。
 アリ・ファルカ・トゥールは2006年に既に亡くなっているけれど、このアルバムの後も、同じマリのコラ( 半分にしたひょうたんを基部にした弦楽器 )奏者トゥマニ・ジャバテと共演した二つのアルバムがいずれもグラミーのトラディショナル・ワールド・ミュージック賞をとっている国際的ミュージシャン。因みに、グラミー賞三作目は彼の死後発表されたもの。
 
 アリ・ファルカ・トゥールは米国のブルース歌手ジョン・リー・フッカーなんかに影響を受けていた関係もあってか、中々ブルージー。
 ティンブクトゥはファルカ・トゥールの故郷の名。
 上記の《 Spirit of the Forest 》と同様バンコクのタワー・レコードで買ったカセット・テープで、本体は露店売やマーブンクロンなんかで売ってるコピー物なんかと訳が違うってことなのか、かっこつけたグレー色。こっちのカセット・ケースには90ルピーの定価が記されたMCAのラベルが貼られている。

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