ポルポト残兵の潜むジャングルから 【 旅先の一枚 】
フランス植民地時代の建物がそのまま残って独特の佇まいの埃っぽく車と喧騒の町=プノンペンと相違して、昨今はすっかり小奇麗な町に変貌したであろうまだまだカラシニコフを構えたポルポトの残兵が隠れているジャングルに囲まれた、赤土と暑熱が如何にも亜熱帯的新鮮さを体感させてくれるシェムリアプは、好きな町の一つ。
1995年と1997年の二度シェムリアプを訪れた。
プノンペンから高速フェリーボートでトンレサップ川を遡りトンレサップ湖を北上すること約4時間。
一雨来るとたちまちデコボコのアスファルト道路は冠水し赤土道路は泥濘の巷と化す。
宿のおばさんが若い者に手伝わせ、自ら泥濘に足首まで浸かりながら外のアスファルト道路に出るすっかり冠水した赤土路に長板を何枚も渡し臨時の渡路を作ってくれた。
雨上がりのまだあちこち水溜まりばかりのアスファルト路に出ると、赤土の臭いが熱気に煽られて鼻腔をくすぐり、正にクメールの大地。
この一枚は、所謂アンコール・ワット以外の諸遺跡群のいずれかで撮ったんだけど、巨大な仏面像で有名なバイヨンか、それとも当方が一番気に入っていたガジュマルと風化し崩落しかけた寺院が絶妙な風合に融け合って佇み続ける遺跡群タ・プロムであったろうか。
タ・プロムじゃ、'95年に訪れた際、入口で14、5歳のすらりとした物売り娘に何かを売りつけられたのが、2年後に再訪した折には、も少し手広く商っていて、同じぐらいの年頃のまだ初々しい青年が一緒に居て、感じからすぐ夫婦なのが分かった。よく見ると、娘の下腹部が大きくなっているではないか。長いポルポト的圧制から解放され、ようやくまだまだ生活レベルは低いものの、まがりなりにも“自分たち”の生活を自分たちの意志で紡いでいける時代の象徴のように思えてしまった。
この写真のは、2度目の際だと思うが、屈託のない楽器売りの娘達。
彼女達の弟なのか、一人スーツ風の派手なデザインのTシャツを着てるのが笑わせる。当時のカンボジアの子供達は皆洗いざらしを着ていて、日曜や祭りなんかの特別な日には小奇麗な晴着(余所行き)を纏う。それはしかし、日本の昭和の子供達の有様とそう大して変わりはしないものでもあった。 若干そのメリハリの振幅に違いがあるにしても。
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