フンジェラーブ峠 【 旅先の一枚 】
2021年。
令和三年となった。
和を令するーーーなんて碌な年号じゃないのは、端から分かっていたはず。
そして正に現実がその如く結果した。
昭和という年号と現実を見れば一目瞭然。はてさて・・・
中国とパキスタン国境に聳える標高4700メートルのフンジェラーブ峠。
'90年代に両サイドから越えたことがあった。
この一帯はともかく景観が素晴らしく、このフンジェラーブ峠を越すと、そのカラコルム・ハイウェイKKHの両側に連なる光景が、両国それぞれで全く真逆の趣きを呈する。
中国側のなだらかな緑の苔の間を湧き出した清水が縦横に流れてゆく湿地帯から、パキスタン側の、頂上付近の白雪を頂いた灰色の岩肌から、突然に黄土色の砂礫の山々の世界に変貌する様は、ともかく一見の価値あり。
中国側からだと、ウィグル族の街カシュガル( 標高1200メートル )から、タジク族の町タシュクルガン( 標高3000メートル )に到り、そこから国境事務所=イミグレ・カスタムのあるピラリ( 現在はタシュクルガンに移設 )へ。
フンジェラーブ峠( 標高4700メートル )を越え、パキスタン側の国境事務所スストへ。
パキ側からだと、ここで一泊だけど、峠を越えてきた側だと一気にパス―、フンザまで南下。尤も、二十年近く過った最近じゃ大部事情も良くなってきてるだろうが。
そこから更に下る途中のパスー氷河の周辺の峰々山容は見事の一語に尽きた。
一度このパス―で泊まり周辺を歩いて観ない手はないと一回だけ、カリマバードのフンザ・イン( 勿論ハイダル爺の宿・当時は元気でぴんぴんしていた )から上って行って、パス―でバトゥラ・インBatura-inn( ドミ30Rs )に泊まった。
本棚には、日本語の本は、それこそもってこいの定番の《 大菩薩峠 》全巻はなかったけど、ハイデッガーの《 存在と時間 》全三冊があった。
まあ、哲学するにはもってこいって訳なんだろうが。
因みに、第一巻だけは手垢に塗れていたものの、後の二巻は殆ど手付かずのまっさら。
パス―氷河まで歩いてゆこうと思ったが、時間がせいていたのと疲労で中途で断念。
イージーな精神論で粋がると、フンザの背後のウルタル氷河、それもかなり麓の方ですら遭難したパッカーの二の舞。
所が、事態はもっと切迫していたことに気づいた。パキスタン・ルピーの手持ち残額が幾らも残ってなかったのだ。三泊の予定が一泊になってしまって、翌日慌ただしくスストへ。
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