旅先のノート Ⅰ
旅に出る際には、基本日記帳を携えるのだけど、当然日本で購入する。
いわゆるそれとして作られた日記帳じゃなくて、普通のそれなりの厚さのあるノートを選ぶ。それでも、半年以上の長旅になると、やはり足りなくなって現地購入。国によっては中々これといったものが見当たらないまま、間に合わせにメモ帳に認めたことがあった。シリアの、とりわけ第二の都市といわれた巨大バザールで有名なアレッポでの記述は殆どなく、後悔することしきり。
そんな日記帳とは別に、現地で珍しさで買ったノートもあり、いずれ帰国してから使って見ようと思いながら、結局記念品扱いのまま使わずじまい。昨今はいずれの国もそれなりのノートを作っているのだろうが、二十年近く前だと、結構粗末な物しか店頭に並んでいなかったことが少なくない。
タイの大判ノート。
中心にプミンポン国王の肖像、周辺にそれ以前の国王たちの紙幣になっている肖像が配された表紙・裏表紙ともルミネ―ト加工された同じデザインのもので、中のノートの紙質も悪くない。恐らく、学童用のノート。
ラーマ9世プミンポン国王は、1946年6月から70年もの長期にわたって国王の座にあった人気のあった国王のようだ。
終戦後、留学先のスイスから帰国した兄王マヒドン・ラーマ8世が、1946年6月9日に王宮の自室で殺害され、急遽後継者として戴冠。西洋教育を受けたラーマ8世が比較的自由主義的で開明的な思想の持主だったのを、米国やその息のかかったタイ国内権力の内部の反共勢力が容共主義と断じての抹殺ってのが相場だろう。下手人が辻正信であるとか他の誰であるかなんて枝葉な事柄に過ぎない。
プミンポン自身は戴冠に余り乗る気じゃなかったらしい。
自分の亡き後を慮り憂慮し、随分と頑張って長生きしたとも噂された国王プミンポン、とうとう力尽きて四年前にチャオプラヤー川の対岸、まだタイの伝説的人物シーウィーの黒化した蝋骸が陳列されていたシリラート病院で亡くなった。
長男のラーマ10世ワチラーロンコーンが跡を継いだのだけど、プミンポンが亡くなる遙か前から、同様に王位継承資格を持っ次女のシリントーン王女の方が人気も高く、国王=女王待望の感すらあったという。
しかし、そこはやはり王制=封建主義の定式通り、男尊女卑って訳で、長男が戴冠。
で、案の定というべきか、評番通りの結果に到ってしまったという訳だ。
どっかの似たような問題で騒いでいた国も、同様の精神構造から抜け切れない、否、自由主義的民主主義的宣揚とは裏腹に抜け出そうという気すら窺えないそのメンタリティーを見せつけられるにつけ、所詮一つ穴のムジナということなのだが。
イエメンの神話的女王シバの肖像の、これまた、薄い光沢紙を使った表紙と裏表紙が対称の同じデザイン。
中のノートの紙質も普通で、タイのと同じ青い薄い罫線だけど、こっちはその廻りに紅い縁取りつき。
玉座の女王の頭上に、シバの女王伝説に出てくる小鳥ヤツガシラが舞っている。
その下に、ヤツガシラにシバの女王のことを聞いたソロモン王が彼女に興味を覚え、彼の下に届けるように命じた親書らしき巻物も。
かつて当方が訪れた頃は南北対立の束の間の一時的休息の時期であったようだけど、再燃し、更に今度は、シーア派武装組織フーシ派と政府との内戦が勃発、イランとサウジアラビア(=米国)の代理戦争の様相を呈して現在に到っている。
長い居した首都サナアも南の要衝アデンも戦場となったらしく、やがてシリアのような瓦礫都市の.惨状を呈するようにならなければ、と願うのみ。
因みに、ダビデの子・知略にたけたソロモン王が政略・策謀、苛斂誅求でイスラエル王国を強大にしたものの、彼の死後、ユダ王国とイスラエル王国に分裂し、衰退の一途を辿ることになった。
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