トランプ 1
ジャン・レノとナタリー・ポートマン主演の 《 レオン 》 Léon(1994年)で、エンディング・テーマをスティングが歌っていた。
“ Shape of my heart ”という曲で、聖なる排列を求めつづける哀感漂うギャンブラー風味ってところだけど、for this artとプロフェッショナルな殺し屋レオンとダブらせているのがポイントなんだろう。
そのリフレインのところで、
スペードは兵士の剣
クラブは戦の武器
とあるけど、クラブは、スペード=剣=騎士・貴族、ハート=聖杯=僧侶、ダイヤ=貨幣・富=商人の照応関係では、棍棒=農民らしい。
農民と棍棒って今一しっくりこない。
おまけに、クラブのデザイン(スート)は、元々トランプは中国発祥(最近の有力説)を証すように、原型の一つ馬弔(マーディアオ=麻雀)の節のある竹を思わせる索子(ソーズ)と相似な、ポロ用スティックだったものが、イタリアで儀式杖、スペインで棍棒に変容したらしい。
現在のクラブのデザインは普通にクローバー(三つ葉)だけど、それは棍棒=メイス(叩撃用混合棍棒)の柄の先端の打撃用突起の刑場をディフォルメしたものともいう。一見原始的な武器に思えるメイスだが、むしろ、鎧が流通し始めてからの、刀・剣より効果的な攻撃力を有した武器ってことで流布したようだ。鎧の上からの叩撃はかなりなものだったという。
ヨーロッパ中世風な身分制に当てはめたのは所詮当時の封建秩序的産物ってところで、それ以上の意味はないようだ。
棍棒って武器なんだろうが、一揆の時なんか、金属製の鎌や鍬なんかの方がよほど農民の武器としては有効なはず。
現在我々の間に流布しているトランプは、五百年ほど前にフランスで形作られたものらしく、絵札以外は、殆ど同じ。時制的には逆だけど、掲示しておく。
jack ←valet 、queen ←dame 、 king ← roi
クラブ 棍棒 農民 知識 春
ダイヤ 貨幣 商人 金 夏
ハート 聖杯 僧侶 愛 秋
スペード 剣 騎士・貴族 死 冬
「知識」や「春」なんてオリジナルの中国の方にはなかったようで、タロットからもたらされた属性だろうか。スート・デザインの赤色と黒色も、昼間と夜って属性があたえられいるらしい。
因みに、カードの枚数は13×4=52。
つまり、一年の周の合計数と同じで、各カードの数字の合計も364で一年の日数。それにジョーカーを足すと365。
これってタロットというより、イスラム文化花咲いた頃や古代中国的産物というべきか。
フランスのトランプにはジャックやキングという名称のカードがないらしく、殆ど使ってない我がトランプ・ミニコレクションの中から捜し出してみると、しかし、当方が持っていたのは、《 LES SAINT 》 Patrons Des Corporations なるタイトルのある聖人トランプで、全部それぞれ異なる聖人の絵柄のカードばかり。ジョーカーに至っては、絵柄はなく、LEXIQUE なる一覧表そのもの。
変種トランプの類だった。
けど、Valet、Dame、Roiではあった。
幼子イエスを厩に訪ねてきた東方三博士の一人聖バルタザールはアフリカからやってきて、トランプ製作者の守護聖人ということらしい。
スペードのD=クィーンは、鎧に身を包んだオルレアンの聖処女=ジャンヌ・ダルク。やっぱり彼女は外せないだろう。槍の柄先につけたIHS = Iesus Hominum Salvator (人類の救済者 イエス)あるいはIesum Habemus Socium(イエスは我らとともにあり)の旗をなびかせ片手にフィエルボワの長剣。
その他に、天使ガブリエルも竜退治の聖ジョージも。
トランプと呼んでいるのは日本だけで、欧米では《プレイング・カード》。
もうそのものって名前で、特別な由緒あり気な名称ではない。ゲームでの切り札のことをトランプと呼ぶのを、日本人の誰かが勘違いして出来た名称とのこと。
洋物トランプ、もう一ヵ国ポーランド製のがある。
こっちは普通のトランプだけど、絵札が独特にカラフルで気にいっている。
キングやジャックをはじめ、とりわけ胸元も顕わなクイーン達のリアルな艶めかしさが好い。
ジョーカー二枚とも楽器を奏でてるけど、道化師というより、ハメル―ンの笛吹男=パイドパイパー的な、妙音で人心を惑わせ、トリックスター的な方途へ誘ってゆきそうだけど、やっぱしそれだとリュートじゃなくて笛を奏でる道化師風だろう。リュートは何としても吟遊詩人の態。
そういえば、旅先でトランプ三昧といえば、やっぱり定番、インド洋の浜辺に面した朝風も肌寒い、しかし、太陽神スーリヤ宜しく頭髪すら焼焦がしかねない強烈な陽射しが照りつけ始めると誰一人として外へ出ようとはしないサンタナ・ロッジの二階だった。
大貧民・大富豪なんかを日本人泊り客ばかり飽きもせず延々とプレイし続けた。
頃合いを見計らって長男クンナが階段を上って来て、顔だけ出して、サンタナ名物玉子プリンの注文を取りに来るその絶妙なタイミングに誰もが舌をまいたものだった。
そんなサンタナも今じゃ白亜の宮殿を思わせるホテルを建てるまでになって。
泊り客は、その玉子プリンにしてやられていたのだから、さしずめ《 玉子プリン宮殿 》ってところだろうか。
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