変性意識的遡行譚『 アルタード・ステーツ 』
科学とドラッグと精神世界、いわゆるヒッピー・カルチャーの権化みたいな映画で、かれこれ四十年以上も前の作品にもかかわらず、面白く観せて貰った。
神経生理学者ジョン・C・リリーがモデルという。
ビートニック・ヒッピー世代の代表的詩人アレン・ギンズバークや天文学者のカール・セーガンと親交があったらしく、彼等もリリー博士の硫酸マグネシウムに満たされたアイソレーション・タンクをそれぞれの企図の下で時々利用していたらしい。このアイソレーション・タンク、現在も世界で使用されていて、日本にもあちこちに点在しているという。
生理学者ジェサップ( ウィリアム・ハート)は、記憶から意識の原点への遡行を企図して、学生達の人体実験だけじゃ飽き足らず、自らが臨床実験に挑み続けた。
僕たちの細胞の分子は60億年の記憶を秘めている
記憶こそがエネルギーだ
そこから意識の原点に遡れる
行き詰まりから、鮮烈な幻覚症状を生じさせる”先祖の花”と呼ばれるメキシコの先住民族の茸を煎じた秘薬を持ち帰り、実験に使用する。いわゆるマジック・マッシュルームの類だろう。メキシコだと、サボテン系のペヨーテが有名だが。
実際には、ヒッピー・ムーブメントの華LSDなんかも常用してたらしい。正にサイケデリック・エキスペリメント。
メキシコの先住民集落で茸スープを一口飲んでの、サイケな極彩色の幻覚で、大蛇が何度か現れたけど、我国のシビレタケの幻覚にも蛇が現れるらしく、この下意識的潜在意識的な共通シンボルは中々に興味深い。
映画じゃ、ジェサップ博士が、とうとう人類進化の分岐点を越えて遡行し、類人猿に変容してしまう。そして更にその向うの果てまで・・・
グルジェフの影響も云われているリリー博士の、正に真闇の只中で己が始源への探求譚でもあろう。
因みに、当方の記憶違いでなけりゃ、オリジナルはエンディングにチベット音楽が流れていたはず。今回観たビデオにゃ、すっかりカットされている。気に入っていた楽曲で、ダラムサラの僧堂で、実際に演奏を聴いたことがあり、イタリア人カップルと一緒に、チベット僧の淹れてくれたバター茶の中休みを入れての長時間演奏の鑑賞は素晴らしいものだっただけに、残念。それ以上に残念なのは、その曲名が定かでないことだ。
監督:ケン・ラッセル
エドワード・ジェサッブ博士 ウィリアム・ハート
マーガレット・ジェスプ博士 ドリュー・バリモア
アーサー博士 ボブ・バラバン
1979年制作配給ワーナー・ブラザース
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