窓外は春の雨、霊猴鉄観音でも頂きながら、宗炳・董斯張たちの臥游にならって坐游でも決めこもう
( [ 酔境 ] バンコクはヤワラート華僑世界の裏ぶれた昼尚静けさにくすんだ一角で、老爺は酒精アムリタの一滴ですっかり酔境世界にたゆとうているのだろう。)
最後のタイ・カンボジアの一ヶ月の旅以来、日帰り国内旅のみというすっかり列島内蟄居閉門的な惨状(?)に、すっかり浦島太郎を決め込んでいるかの如く。
思えば、一等最初の海外旅も、チベットがもめていたせいでシルクロード=敦煌→新疆ルートに変更した一ヶ月旅だった。
もっぱらアジア圏をばかり廻って、イスタンブール、カイロが最西端で、最南端はバリ島デンパサール。中南米やアフリカも当初は予定していたけれど、何しろアジアだけでも行きたい場所長居したい場所果てしなく、まだまだあちこち未踏のまま。
三千世界の逍遙遊、この世の果てから路地裏まで・・・このブログのサブタイトルだけど、だから国内外の津々浦々の細路・路地裏、小説・映画の一行一句・行間、画像と物語を逍遥遊って心算だったはずが、どうも不器用な徘徊ってところに終始した風。
( [ 無境 ] ガンジス河の聖都バナラシの少し離れた汀の静寂に、一人只管打坐する白髪の修行者サドゥーは、無境に逍游。)
《 西遊記 》の別伝ともいうべき《 西遊補 》の作者・董説( とうえつ )、実はその本当の作者とも目されている父親・董斯張等の明末・清初の文人達って、部屋の壁に幾篇もの水墨山水画を並べ、あるいは盃を傾けながら、山水世界をたゆとい、その三昧的境地も薄れぬうちに、床几の上の微睡みからいよいよ夢境の逍遥世界を楽しんだという。
この時代って、優雅とはむしろ真逆の、長らく続いた明朝がうち続く内憂外患の果ての、北方異族・満州族=清朝樹立という乱世であって、若き董説も、『 反清復明 』の遺民として清朝に馴染むことなく、生涯文人僧を全うしたようだ。 それでも同じ遺民達の間を行き来し、あるいは中国中縦横に張巡らされた水路旅なんぞを簡素ながらも満喫したというが、父親・董斯張の場合は、生来の虚弱体質なのか病床に着くこと多く、門外に出ることも殆んどなく、それこそ部屋中に山水画を架けめぐらせ仙境世界に遊び、做夢( 夢見 )の糧とし、夢境的逍遥を三昧する日々。正に臥游。
当方はといえば、夢道人達の夢境よりも随分と下世話なというべき段ボールの中に長らく仕舞われたままの旅先でのフィルム時代のネガ写真の束ってところだろうか。一応ブック型の収納帳に納めてはいるものの、基本コンパクトカメラのスナップ以上に出ない代物。そんな今一写真を眺めながらの、当時のあれこれよもやま三昧と云いたいところだけど、さすがに昨今記憶も薄れ、結局日記で確かめてみたりの、夢境とは程遠い記憶的補正のリアリズム的執着・・・
( [ 秘境 ] ゆったりとしたラオス、メコン川流域の小村。二十世紀末的南画ともいうべき。)
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