TTゲストハウス 旅先の一枚( バンコク )
九月、タイじゃカンヤ―ヨン。
連日、間欠的に篠つく雨季。
時代はミレニアム一年。
つまり2001年、バンコクも、“ 美国的テロ鳴動 ”でメディアは喧しかった。
タイ南部のバッタ二―独立=イスラム諸派の武力闘争はこの頃には少しなりを鎮め・・・数年後には再燃したけど・・・ていて、職業訓練校生達の抗争もまだまだ後年の如く手製爆弾や拳銃をバスや有名商業ビルMBK前でぶっぱなしたりのタイのワイルン=不良青年暴力映画並みの派手派手しさには至っていなかったと記憶している。ISETAN やZENが焼かれる反軍部独裁の赤シャツ( スア・デ―ン )勢力蜂起にもまだ数年あった。
TT2ゲストハウスの二階の窓側シングル。
狭い通りを隔てて聳えるケーオ・チャムファー寺院の高い塀と本殿の屋根越しに射し込んでくる陽光に明るく照らし出された室内は、実に簡素そのもので、写っている調度だけ。
大抵、チェック・インした当初は、同じ二階の窓なしシングルってのが常道で、それから上階のシングルに移るんだけど、空いてなけりゃあ、ずっとそのまま。昼なんざ、窓もないので茹だるばかり。ファンを幾ら廻したって生温い風ばかりで、日中は大抵一階のリビングルームか、外で過ごすしかない。
この時は、運が良かったのだろうが、日記みると、数日後、四階の窓側シングルに移っている。理由はもう忘れてて、日記にもない。上階だけに景観は良かった記憶はある。
パイプ・ベッドの脇のミニテーブルの上のカセット・テープは皆バンコクで買ったもの。宇多田ヒカル《 ディスタンス 》、新人プローイ《 リトル・ボイス 》、左に積んである一番上は恐らく男っぽい声のアウ《 ザ・ボイス 》。
シン・ハの缶ビ―ル。ミネラルウォーター。
ベッドの上は現地新聞。TTは、英字の《 バンコク・ポスト 》紙なので、9.11からみのニュースが大きく載っていたので、興味本位=資料として買ったのだろう。
この時、このTTの若いスタッフ( 従業員 )に、新人の娘が加わっていた。
十六歳のソーン。日本語が少しできて、もう古参になってしまった丸顔のドゥアンと同じイサーンのコラート出身という。もう一人の小柄な娘トォ~はカンボジアと隣接したシーサケット出身。十四歳でこのゲストハウスで働き始めたトォ~は、当初はいきなり首都・バンコクってことと、外人ばっかりの宿ってことでかなり戸惑っていた。イサーン訛も抜けない内に、英語世界に馴染まねばならず、多分に緊張していたものの、幼さとそれなりに可愛いさもあって、客の女達には好意的に接して貰っていた。
ある朝、ドゥアンが、白いブラウスに紺の長めのフレア・スカート( タイの学生服の定番 )を着て出掛けて行くのを見かけ、英語学校にでも通っているのだろうと勝手に決めつけてしまったことがある。この頃はもう、オーナー家族は余り前面には出てこなくなり、もっぱらドゥアンが中心になっていたので、筋は通っている。
それから既に二十五年近く過った現在、皆四十歳過ぎ。
時折ニャッと笑ったりしていたトォ~も、子供が何人居てもおかしくはないけど、当時、小柄なイタリア系の髭男が彼女に執心していたようで、やたら馴れ馴れしく話しかけていたのを見かけたことがあった。その後の展開は知る由もないが、タイ演歌やイサーン歌謡・モーラムの定番テーマの如く、現地妻( ミヤ・ノーイ )的杞憂ってところに帰趨しなきゃいいが。
この頃からタイ映画に変化の兆しがあって、前年のホラー映画《 ナンナ―ク 》に続いて、例えば上映時間三時間の王朝活劇《 スリヨ・タイ 》がタイ全土で流行り、国定映画なのか生徒達が学校から整列して見に来ていたりしていて、吃驚したものだった。
映画自体も、それまでのタイ映画の水準を越えるもので、二度観してしまった。シンハ・ビールの缶にも、映画の登場人物が印刷されたものが出回っていたぐらいの人気だった。
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