AK47娘子軍的ゆらぎ エロスとタナトスの饗宴
明るい緑の草原の上、白のブラウスにすらりと伸びた下肢の太腿も露わなミニスカート、手にはAK47カラシニコフ自動小銃の女子高生達が、広い画面いっぱいに戦闘モードで展開する戦争絵巻。
ロケット弾を発射する娘、その発射爆音に思わず耳を両手で蔽う娘、ピンクの手榴弾を運ぶ小犬、右端でこれ見よがしにミニスカートから白いパンティーを覗かせる片脚を後方に伸ばした娘。敵味方入り乱れての肉弾戦も間近な戦闘モードのわりには、一向に悠揚迫らぬ女子高生・娘子軍の眼差し。( 『 草の上のAK47少女 』 原題《 AK少女払暁出撃 》)
かつては明治の富国強兵的国策で全国から一攫千金を夢見て参集した炭鉱労働者や商売人たちで賑わった炭鉱の町・筑豊の街・田川も、末期資本主義的凋落の急先鋒と云わんばかりにシャッター商店街と昼尚車ばかりが行き交うばかりの、路上に人影殆んどない過疎タウンと化していた。そんなくすんだ佇まいであっても、一様に降り注ぐトロピカルな陽光と暑熱に茹だりながら辿り着いた小さな美術館の扉を開いた向うに、突如立ち現れた横五メートルの壮大な女子高生群世界。
いきなりの画面展開はシュールな様相すら呈する。
正にエロスとタナトスの饗宴。
青々とした大空いっぱい、ミニスカートの、両手にAK47カラシニコフ自動小銃を抱えた娘子軍が、真っ白いパラシュートにぶらさがり一斉に降下してくる大画面。戦時中の鶴田吾郎の翼賛絵画『 神兵パレンバンに降下す 』の構図そのままに、降り立つと、皇軍手榴弾よろしくの兎のぬいぐるみを投擲せんと構え、あるいはニッコリ笑みを湛えスマホ自撮りを決め込む娘子軍。
『 神兵台北に降下す 』 原題《神兵台北降下》。
「祖父は自分のことを“日本人”、父は“中国人”と思っていたが私は“台湾人”である。」
1976年の台湾生れの画家、Chen Ching-Yao陳・( 手偏の上に敬)耀 。
台湾の置かれた特殊性=歴史的ゆらぎを逆手に取っての反戦・反権威主義的な多面的な芸術活動を続けてきた画家・写真家 チェン・チンヤオ。
ミニスカート女子高生のパラシュート的降下を地上から見上げる仰角図、階段を上る娘達のスカートの中を盗撮する軽佻な淫靡よりもっと直接的な、むしろ画家の願望的形象化なんだろうが、当方的も、ネットで画家のシリーズ化された数多の降下的仰角図を見るにつけ、決して手放さない鈍いスチール色のAK47ともどもに、タナトスとエロスの渾然は中々に面白い。
『 AK47少女 愛の不時着 』
「愛の不時着」のタイトルは幾年か前に韓国で流行ったパラシュート( パラグライダー )で間違って北朝鮮に降下してしまった恋愛テレビドラマ( 当方未見 )だったけど、画家的には、台湾=中国と連鎖するものだったのだろう。
戦時翼賛画、鶴田吾郎の『 神兵パレンバンに降下す 』をモデルにした『 神兵台北に降下す 』に戻ると、台湾=中国というストレートに自明でありながら、現代史的に幾種ものいわくで縺れた政治的坩堝の只中で、画家は、台北に降下する神兵とあえて名づける。降下=侵略なら、戦前の大日本帝国→台湾であり、戦後の蒋介石国民党勢力→台湾でもあるのだけど、今日じゃ、巷間、中国→台湾を謂う。
で、中国人民解放軍降下部隊の青天下の一大降下ってとこなのが、画家は、伝統的画材「飛天」宜しくのミニスカートの女子高生( 実際には画家はアイドルグループAKB48あるいは乃木坂46の間をとってかAK47 Girls )達の淡い艶めかしさを漂わせての降下に変容させる。この通俗性をうまく活かした比喩的形象ではあるんだろう。
《 台湾侵攻 》のフレーズが喧しく喧伝されるようになって久しい。
しかし、台湾は中国の一部・一省に過ぎない、そもそもそれを宣言し、米国の後押しで蒋介石国民党勢力が、台湾でファッショ政権を樹立し、独裁体制を敷き、悪辣を極め、国連でも米国およびその衛星国の類がその上に乗っかった公然事実。
蒋介石国民党勢力は、中国大陸で、悪辣かつ腐敗( 一時国民党の捕虜となっていた、あのミスター皇軍こと辻正信すらその腐敗さ加減を口を極めて唾棄していた )し切っていた故に追い出され、這う這うの態で台湾に逃亡したのであって、やってこられた台湾人達こそいい迷惑だったのだから。
やがて、時代の流れ趨勢が、八億中国人民の大陸側を正統と認めるようになり、蒋介石国民党勢力は、米国の後ろ盾で辛うじて命脈を保っていたに過ぎない。やがて国民党自体が衰亡の一途を辿り始め、台湾独立を喧伝し始めるようになった。
つまり、人民解放軍が台湾を侵攻するんじゃなくて、単に、自国の一省に派遣・移動するってことに過ぎない。トランプの、とある米国内一州に、ゴリ押しで州兵を派遣することの方が遙かに違法この上ないのだけど、如何せん、米国および世界でその事実性を端的に指摘しあるいは指弾する声って殆んど聴かない。まあ、実際にはそれなりにあるんだろうが、マスメディアが正に彼等の走狗以外の何物でもなかった歴史からして、公になることはないだろう。当方みたいな、吹かなくても覚束ない微少ブログでの呟きなんて何処にも届かない。
( 如何にも意味ありげなメタファーにゆらでいる。)
勿論台湾には昔から高砂族はじめ先住民族は居たんだけど、蒋介石国民党が自己正当化のためにすべてを歪曲し話をおかしくしてしまった。中国も、実勢的に米国が背後で糸を引いているのが分かっているからには、おいそれと独立以前のレベルでも認めることはないだろう。
米国の優等生的衛星国・ニッポン自民党権力も、朴正熙、ゴ・ジンジェム、マルコス、蒋介石と名だたるファッシスト達の東アジア衛星国ネットワークの要なんだろうが、例えばアイヌ=北海道、琉球の独立を認めなかったどころか、強権支配してきた正に張本人。それが、台湾独立を恥ずかしげもなくぶち上げるのだから、ついこの前まで、台湾蒋介石国民党こそ中国の正当な政府と連呼していたのを忘れてしまったかの如く。
もう、このミレニアム世界は、如何とも救いようもなく、末期資本主義的狂態に満ち満ちて、あんな小覇権国家イスラエルのパレスチナ人達に対する果てしない侵略・略奪とリアルタイムの大量虐殺に、殆んどなすすべもないようで、ナチスのユダヤ人虐殺に対してもそうだったはずだろう。
あの戦後の長い間この列島で世界で垂れ流がされてきたゴタクは一体何だったのだろう・・・
戦争と美術 チェン・チンヤオ展 福岡・田川美術館
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